社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問2 ((択一式)労働基準法及び労働安全衛生法 問2)
問題文
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問2((択一式)労働基準法及び労働安全衛生法 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
- 令和7年1月1日から、賃金が日給1万円、毎月20日締切、当月25日支払いの条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。
- 労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。
- 所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻の属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。
- 雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。
- 本条第3項第1号から第4号までに掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等の控除期間が、平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月以上にわたる場合の平均賃金は、都道府県労働局長がこれを定めることとされている。
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この過去問の解説 (3件)
01
平均賃金についての問題は計算を要する場合も多く、計算方法や計算に算入するものとしないものなど曖昧な理解なままだと解答することが難しいうえ、過剰に時間を使ってしまいます。
間違えた場合はしっかり復習しておきましょう。
記載の通りです。
平均賃金は事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金を総日数で除したものになります。
ただし時給、日給、出来高額の場合は総額を労働日数で除したもの6割に当たる額の方が高い場合はその額を平均賃金とすることになります。
また、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から計算します。
この場合の算定期間は、3月21日から6月20日までです。
この期間の総日数は92日ですから、通常の計算であれば、30万円を92日で割って、3260.86円となります。
一方労働日数は30日ですから、30万円を30日で除して1万円。
その6割に当たる6000円の方が高いので平均賃金は6000円となり、正しい選択肢となります。
尚、暦日は西向く士(サムライ)ということで、2、4、6、9、11月が31日ないと覚えるのが簡単です。
記載の通りです。
その他、休業手当の場合休業日(2日以上の休業の場合最初の休業日)、減給の場合は減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日、災害補償の場合は事故発生の日又は診断により疾病の発生が確定した日などそれぞれの算定事由発生日を把握しておきましょう。
記載の通りです。
「継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること(昭和63年1月1日基発第一号)」
上記通達が頭に入っていれば出勤日の労働の中で発生した算定事由であると理解しやすいかと思います。
誤りの肢です。
原則的には記載の通りのルールですが、賃金締切日がある場合は算定事由発生日の直前の賃金締切日から起算します。
ただし、直近の賃金締切日から起算すると算定期間が一賃金締切期間に満たなくなる場合は算定事由発生日からの起算となります。
その為、「算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず」という記載が誤りです。
記載の通りです。
本肢は結論を覚えてしまって差し支えないと思いますが、併せて、その他控除される期間も確認しておくと良いと思われます。
産前産後休業、使用者の責による休業、育児休業、介護休業、試用期間、正当な争議行為による休業期間、労働組合事務専従中の期間などがあります。
子の看護休暇や介護休暇については控除しないので注意が必要です。
また、試用期間は原則除かれますが、試用期間中に平均賃金の算定事由が発生した場合は試用期間中の日数と賃金を用いて平均賃金を計算します。
平均賃金は計算方法はもちろん、賃金の総額に算入するもの、しないもの、控除する期間など覚えることが比較的多いです。
しかしながら重要な論点でもありますので丁寧に学習されることをお勧めいたします。
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02
労働基準法で定める休業手当や災害補償、解雇予告手当などを算定するための尺度として「平均賃金」が用いられます。
その「平均賃金」の算定式などしっかりおさえる必要があります。
正しいです。
日額や時間で賃金が算定される場合、または出来高制払その他の請負制によって定めた場合については、賃金の総額を総日数ではなく、その期間中に労働した日数で除すことになり、その金額の100分の60となります。
正しいです。
選択肢の文章の通り、解雇予告の通知をした後に、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合であっても、当初の解雇を予告した日が算定事由発生日となります。
正しいです。
所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う場合で、かつ当該勤務の二暦日目に算定事由が発生した場合は、当該勤務の始業開始時刻の属する日に算定事由が発生したものとして取扱うこととされています。
誤りです。
雇入れから3か月未満の者でも、その間に賃金締切日があり、かつ1賃金算定期間がある場合は、直前の賃金締切日から起算することとされています。
そのため、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定するとは限らないからです。
正しいです。
日数及び賃金を控除すべき期間が3か月以上にわたる場合は、都道府県労働局長が定めるものとされています。
行政通達からも出題されている、比較的難易度の高い問題です。
選択肢の中で自信のあるものから消し込むなどして解答を導くのも1つの方法です。
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03
労働基準法11条によれば、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」とされています。
賃金に該当するかどうかの区別はよく聞かれる問題です。
イメージとしては①「労働の対償といえるか(労働の対価として支払われるか)」②「使用者が支払うものか」という2つの視点を持っておくと便利です。
例えば①について、福利厚生はあくまで従業員の福利の向上を目的としたものであって「労働の対償」とはいえないので、労働基準法上の「賃金」には該当しません。
さらに、②については、お客さんからもらうチップは「使用者が支払うもの」ではないので、労働法上の「賃金」には該当しません。
正しい選択肢です。
平均賃金とは、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」とされます。
選択肢において、直前の賃金締切日は令和6年7月20日(毎月20日締めのため)になります。
ここから起算して、3か月間(3・4・5月)の賃金及び日数を用いて平均賃金を計算します。
30万円(毎月10万円×3か月分)/総日数92日(3月21日から同年6月20日までの歴日数)=3260.86円 になります。
しかし、ここで注意しなければならないのは、最低賃金には最低保障額の特例があり、最低保証額の特例と平均賃金を比較していずれか高い方が平均賃金となります(計算した平均賃金が最低保障額の特例金額に達していない場合には、最低保障額の特例金額が適用されます)。
最低保障額の特例金額は、「賃金の総額/期間中に労働した日数×60%」で求めることができます。
本問に当てはめてみると、
30万円/30日(=各月の労働日数10日×3か月)×60% = 6000円 になります。
そこで、平均賃金 約3261円と 最低保障額の特例金額 6000円 とを比べると、後者の方が高いことになりますので、平均賃金は6000円になります。
そのため、この選択肢は正しいです。
正しい選択肢です。
解雇予告手当とは、30日前に解雇の予告を行わずに解雇する場合に支払わなければいけない手当のことです。
労働基準法では、会社が労働者を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に解雇の予告をすることが義務付けられています。
そのため、たとえば20日前の予告で労働者を解雇したい場合には、不足する10日分の手当を支払わないとされます。
解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」です。
これは、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日が平均賃金算定事由発生日となる点に注意が必要です。
このようにしないと、会社が解雇手当を支払いたくないために、労働者に依頼して解雇日を変更してもらうことなどが考えられるからです。
正しい選択肢です。
所定労働時間が二暦日にわたる勤務を行う労働者とは、たとえば深夜業や当直勤務など、日付をまたいで(0時を過ぎて)継続するシフト(日またぎ勤務)が想定されている勤務のことを言います。
この場合においては、「二暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻の属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこと」とされています。
つまり、夜勤がある労働者が、7月1日の午後11時から翌日2日の8時まで勤務した場合において、二暦日目の7月2日に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、当該勤務の始業時刻の属する日である7月1日に事由が発生したものとして取り扱われます。
誤った選択肢のため、正解です。
復習ですが、平均賃金とは、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」とされます。
しかし、「雇入れ後3か月未満の労働者」については、3か月間の賃金総額を算出することができなくなるので、実績期間(雇い入れ後の期間)で計算することになります。
もっとも、この場合においては、【賃金締切日がある場合】において、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額(実績期間)で算定することとされます。
これは、もし仮に「事由発生日の前日」までのすべての期間で計算すると、最後の「中途半端な数日間」が計算に含まれてしまうからです。給料は月給制や、締切日にまとめて計算されることが多いため、その中途半端な数日分の賃金はまだ未確定だったり、日割り計算で少額だったりします。
しかし、日数(分母)だけはきっちりカウントされてしまうため、計算式(賃金総額 ÷ 総日数)に当てはめたときに、1日あたりの平均賃金が下がってしまい労働者が損をしてしまいます。
これをさけるために、【賃金締切日がある場合】において、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額(実績期間)で算定することとされます。
本問は、「算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、」としている点で誤りです。
以下、具体例で考えます。
少し説明が詳しくなり混乱するかもしれませんので、初学者の方はまずは上記結論だけ覚えて、以下は飛ばしても構いません。
例えば、「日給30万円・毎月末日締め」の会社に4月1日に入社して毎日勤務し、5月10日に会社都合で休業することになりました。
ただし、5月には大型連休に伴う会社休暇が4日あり、その期間は勤務をしていない、というケースを想定します。
・この場合において、【「事由発生日の前日」までのすべての期間で計算した場合】
35万円(4月分30万円+5月9日までの分90000円ー会社休暇による不就労分40000円)/労働日数39日間= 8,974円 平均賃金
・他方、【賃金締切日(=月末締)がある場合において、実績で計算した場合】
30万円/労働日数30日=10,000円 平均賃金
上記を見比べるとわかる通り、仮に締め切りを無視して計算すれば、分母は総日数のため休暇日も含まれるにもかかわらず、分子は実際に支払われた賃金=休暇分を引いた額になるので、平均賃金が安くなってしまいます。
他方で、ルール通り賃金締切日をベースに計算すれば、上記のような不都合はなくなります。
正しい選択肢です。
本条(労働基準法)「12条第3項第1号から第4号までに掲げられている業務上負傷し療養のために休業した期間等」には、以下が含まれます。
①業務上の傷病による休業期間
②産前産後の休業期間
③使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
④育児休業、介護休業等、または子の看護休暇期間
復習ですが、平均賃金とは、「算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」とされます。
しかし、この3か月間に上記の期間が含まれてしまうと、平均賃金が不当に低くなってしまいます。
ですのでこの場合には、これらの期間を控除して算定することとしています。
そして、この場合には、都道府県労働局長がこれを定めることとされています。
平均賃金に関する問題は、計算問題も出題されます。
ややこしくわかりづらいところですが得点源にもなるので、具体例で考えて理解することがおすすめです。
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