社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問7 ((択一式)労働基準法及び労働安全衛生法 問7)
問題文
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問7((択一式)労働基準法及び労働安全衛生法 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
- 就業規則を作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある。
- 使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行う所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行われるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例である。
- 労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態(シフト制)の労働者に関する労働基準法第89条第1項第1号に係る事項の就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならないが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない。
- 労働基準法第90条第2項の規定により就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載しただけでは足りず、この者の押印もなければならない。
- 労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その時間分の減給は、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、同条に定める規定の適用を受ける。
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この過去問の解説 (3件)
01
就業規則について判例も含めた問題です。
判例が難しく感じる問題ではありますが、基本を理解していれば正解にたどり着くことができると思います。
正しいです。
使用者は就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならないとされています。
正しいです。
合理的理由に基づき、妥当な方法と程度の所持品検査を、就業規則の制度として職員に画一的に実施する場合、労働者は検査を受ける義務が生じるものとされる判例があります(西日本鉄道事件)。
正しいです。
労働基準法第89条第1項第1号において「始業・終業・休日の記載義務」は、シフト制であるとしても免れないものとされてます。
一方、就業規則に最低限の枠組みを書き、その中身の具体化をシフトや個別契約にゆだねるのは差し支えないため、本肢は正しいです。
誤りです。
就業規則を届け出る場合には、労働者の過半数を代表する者の氏名を記載した意見書を添付しなければなりませんが、押印が必要とはされていません。
正しいです。
遅刻、早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、制裁に関する規定の適用を受けることになります。
本問は判例からの出題がされています。
初めて見る判例であるとしても、一定の読解力や想像力で問題を解く力が求められています。
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02
就業規則の問題も頻出です。
記載事項などを中心に正確に学習しておきましょう。
記載の通りです。
就業規則は全文を周知する必要があります。(労働基準法第106条、労働基準法施行規則第52条の2)
その他、労働基準法第106条においては労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、労使協定や労使委員会の決議について周知義務を定めていますが、「要旨」で良いとされているのは「労働基準法及びこれに基づく命令」だけであることも理解しておきましょう。
記載の通りです。
就業規則には様々な記載事項がありますが、当然何でも認められるものではありません。
過去の判例(西日本鉄道事件など)では、本肢の通り、
・合理的な理由に基づき
・一般的に妥当な方法と程度で
・全従業員に対し画一的に
・就業規則その他明示の根拠に基づき
実施しなければならないという要件を課しています。
記載の通りです。
就業規則には「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項などの記載が必要です。(労働基準法第89条)
これはシフト制でも同様ですので、「個別の労働契約による」、「シフトによる」等では記載事項として不十分です。
一方、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えないとされています。(昭63.3.14基発150号)
誤りの肢です。
就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。
また、届出の再にはその意見を記した書面を添付しなければなりません。
この押印は令和3年4月1日以降不要になりました。
記載の通りです。
遅刻早退については労働の提供がありませんから、賃金を支払う必要がありません。
(ノーワークノーペイの原則/民法第624条)
一方、遅刻早退時間に対応する賃金額を超える減給は制裁以外の何物でもありませんから、当然労働基準法第91条の規制を受けることになります。
本問は比較的簡単な問題かと思われます。
重要判例をカバーしておけば印鑑が不要になったことを知らずとも消去法で解答にたどり着けるかと思います。
社労士試験は非常に細かい部分まで出題対象ですから、わかる肢から絞り込んでいくのも大切です。
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03
「就業規則」とは、労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則を言います。
平たく言うと、会社で働く上でのルールを定めたものです。
上記10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し又は変更したときは、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされます。
就業規則で定めた労働条件は、その事業場における「最低労働条件」になります。
また、就業規則で定める基準以下の労働条件を労働契約で定めた場合には、当該労働契約は、その部分について無効になります。
このように、就業規則は、会社と労働者との間での強力なルールとして機能します。
そのため、就業規則を作成し又は変更するに当たっては、
・事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合
・ない場合においては、労働者の過半数代表者
⇒の意見を聞かなければならないとされます。
使用者側が、勝手に自分たちに有利な就業規則を定め、それを会社の強力なルールとして労働者を縛ることを防止する必要があるからです。
なお、使用者は、上記の届出に際して、上記意見を記した書面を添付しなければなりません。
選択肢の内容は正しいです。
上記のとおり就業規則は重要なものですので、これを作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があります。
選択肢の内容は正しいです。
最高裁43年8月2日 西日本鉄道事件で判示されたとおりです。
労働者にも当然プライバシーがあり、これは保護されるべきですので、使用者であるからといって、当然に所持品検査を行うことはできません。他方で、使用者側にとっても所持品検査をする必要がある場合もあります。
(例えばこの判例では、電子マネーがなかった時代、現金を扱うバス・電車の乗務員による運賃の不正防止(ネコババ防止)のため、会社が就業規則で所持品検査のルールを設けていました。)
そこで、
①所持品検査を必要とする合理的理由があること
②一般的に妥当な方法と程度で行われること
③制度として、職場従業員に対して画一的に実施されること
④このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に示されており、これに基づいて行われること
⑤個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がないこと
という要件を満たした場合には、従業員は、所持品検査を受忍すべき義務があるとされました。
要件を覚えるのは難しそうですが、イメージで考えれば簡単です。
つまり、①所持品検査をする理由もないのにプライバシー侵害をしてはダメ ②必要があったとしても、方法が過剰であってはだめ ③使用者の恣意で特定の従業員を狙い撃ちにするようなものであってはダメ ④所持品検査をすることがきちんと会社のルールとして定められ、それに基づいて行われるのであって、使用者が恣意的に行うものではないこと ⑤従業員に対する具体的な検査方法が妥当性を欠くものであってはだめ、 という風に、所持品検査を行いえない場合をイメージすれば導くことができる、一般的な内容の要件です。
選択肢の内容は正しいです。
原則として、就業規則には、必要的記載事項として必ず以下の事項を記載しなければなりません。
①始業及び終業事項
②休憩時間、休日、休暇
③労働者を交代業務に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
④賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締め切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
⑤退職に関する事項(解雇事由を含む)
そうすると、就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことには原則なりません。
他方で、シフト制の場合には、一定期間毎のシフトにおいてはじめて具体的な労働日や労働時間が確定するといった特殊事情があります。
そこで、例外的に、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えないとされます。
つまり、大枠をきちんと定めていれば、使用者の恣意による労働の強制も抑止できますし、労働者としても予測可能性が立つため、これを定めておけば、具体的な方法は個別に定めるとすることも認めているということです。
選択肢の内容は誤りで、正解となる肢です。
冒頭で解説したとおり、使用者は、就業規則の作成又は変更にかかる届出に際して、事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、ない場合においては、労働者の過半数代表者の意見を聴取し、これを記した書面を添付しなければなりません。
この書面については、きちんと意見を聴取したことを証明するため、労働者代表者の氏名の記載は必要とされます。
他方で、押印までは不要とされます。
実は以前は押印まで必要とされていましたが、廃止されました。
これはなんとも現実的な理由からで、政府全体で推進している「書面・押印・対面の見直し(デジタル化・行政手続きの簡素化)」の目的で、押印までは不要としたからです。
選択肢の内容は正しいです。
まず労働基準法第91条は、労働者の服務規律違反に対し、戒告、けん責、出勤停止、懲戒解雇等の制裁を課す場合には、就業規則において、制裁事由とそれに対する種類・程度を記す必要があるとされます。
また、制裁として減給処分を課す場合には、以下の制限があります。
減給は、以下のいずれも超えてはならない。
・1回の減給額:平均賃金の1日分の半額
・総額:1賃金支払期における賃金総額の10分の1
これは、労働者の給料債権を確保し、労働者の生活を守るためです。
次に、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については労働がありませんので、対価としての賃金債権は当然に発生しません。
他方で、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給については「制裁」であり、労働基準法91条の適用がありますので、上記した減給制限の適用があります。
一部判例からの出題もありましたが、就業規則という基本・頻出分野からの基本的な問題の出題でしたので、出てきた問題は押さえて解けるようにしておきましょう。
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