社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問12 ((択一式)労働者災害補償保険法 問2)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問12((択一式)労働者災害補償保険法 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、業務災害として保険給付の対象となるものはいくつあるか。

ア  鉄道保線作業に従事する労働者が、休日に自己の担当する鉄道沿線で事故があったため、使用者の呼び出しを受けて自宅から現場にかけつける途上で、つまずいて転倒し、負傷した場合
イ  職場から2駅離れた社宅に居住する労働者が、休日に、台風のため社宅付近の大木が倒れたことに伴って切断された高圧電線がショートし、枯木に火が付く様子を社宅から目撃したことから、社宅への延焼を防止しようと作業していたところ、強風にあおられた高圧電線に接触して死亡した場合
ウ  職業能力開発促進法に基づく技能検定であって、職務に関連する職種に係るものを、使用者から出張命令を受けて受検した労働者が、実技試験中に当該実技に起因して負傷した場合
エ  山岳地区であって地理的条件から天候の変化が激しく、雷の発生頻度も高い地域で、山頂より100メートル下方で植生盤の植付作業をしていた労働者が、夕立のような異様な天候になったので、作業を中止し、他に適当な退避場所がなかったことから山頂の休憩小屋に退避しようと移動していたときに、落雷の直撃を受けて死亡した場合
オ  通常は私鉄バスを利用して帰宅する夜勤労働者が、当該私鉄バスのストライキによる運休のため、早朝、電車で帰宅するつもりでバス停とは反対方向の鉄道駅に向かっている途上で自動車にはねられ、負傷した場合
  • 一つ
  • 二つ
  • 三つ
  • 四つ
  • 五つ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

業務災害に該当するかを判断する問題です。
業務災害とは「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」です。
(労災保険法第7条第1項)
業務上とは「業務と傷病等との間に一定の因果関係があること(業務起因性)」をいいます。
また、業務に起因しているかどうかの判断の前提として、当然「労働者が使用者の支配下にある状態かどうか(業務遂行性)」が認められることも必要です。
尚、通勤災害は業務災害ではないので混同しないようにしましょう。

 

ア 対象となります。
突発事故のため、使用者の呼び出しを受けて現場に駆け付ける途上は業務遂行中と扱われます。(昭24.1.19基収第3375号)
出張と同様の取扱いです。
通勤災害と混同しやすいので注意しましょう。

 

イ 対象となりません。
冒頭記載した通り、業務災害と認定されるためには「業務起因性」と「業務遂行性」が必要です。
この業務起因性はより掘り下げると「業務に内在する危険有害性が現実化したと経験則上認められること」をいいます。
この観点から考えると、業務災害とは言えません。

 

ウ 対象となります。
本件については使用者から出張命令を受けており、職務に関連する職種に係る技能検定の実技に起因して負傷したことから「業務遂行性」「業務起因性」が認められるため、業務災害として取り扱われます。

 

エ 対象となります。
当該事故はまさに「業務に内在する危険有害性が現実化したと経験則上認められること」といえます。

 

オ 対象となりません。
これは「通勤災害」です。
「労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」(労災保険法第7条第3項)を通勤災害といい、通勤は同条で「通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」とされています。
余談ですが、ストライキによって通勤が通常の経路ではないとしても合理的な経路であれば通勤と認められます。

 

よって対象となるのはアウエで正解は3です。

選択肢1. 一つ

誤りの肢です。

選択肢2. 二つ

誤りの肢です。

選択肢3. 三つ

正解の肢です。

選択肢4. 四つ

誤りの肢です。

選択肢5. 五つ

誤りの肢です。

まとめ

業務災害に該当するかは有名なものは覚えておきましょう。

全てを網羅的に覚えるのは不可能なので、初めての問題は、

「業務に内在する危険有害性が現実化したと経験則上認められること」

「労働者が使用者の支配下にある状態かどうか」

の2点から考えてみましょう。

尚、くどいようですが通勤災害との混同は注意しましょう。

参考になった数23

02

業務災害に該当するかどうかを問う問題です。

選択肢の中には通勤災害に該当するものがあり、混同しそうになります。

業務災害に該当するかどうかは「業務起因性」が認められなければならず、その前提要因として「業務遂行性」が認められなければならないことになります。

 

ア 対象となります。

自宅から現場へかけつける途上であっても、使用者の命によるため通勤災害とはならず、業務遂行性と業務起因性が認められます。

 

イ 対象となりません。

使用者からの命令を受けて作業を行ったものではなく、自己の居住する社宅の防火活動をもって事業施設の防火活動とみることは困難です。

 

ウ 対象となります。

使用者から出張命令を受けて受検したものであるため業務遂行性があり、実技試験中に当該実技に起因して負傷したのため業務起因性が認められます。

 

エ 対象となります。

山頂より100メートル下方で作業を行っており、他に適当な退避場所がなかったというやむを得ない状況であったことから業務災害と認められます。

 

オ 対象となりません。

通勤災害となるため該当すると混同すると思いますが、業務遂行性と業務起因性がないことから業務災害とは認められません。

選択肢1. 一つ

誤りです。

選択肢2. 二つ

誤りです。

選択肢3. 三つ

正解の選択肢です。

5つの肢のうち、ア・ウ・エの3つが業務災害として保険給付の対象となります。

選択肢4. 四つ

誤りです。

選択肢5. 五つ

誤りです。

まとめ

業務災害は業務遂行性の有無と業務起因性の有無によって決定されます。

業務遂行性とは、「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態」をいい、「業務起因性」とは、「業務に内在している危険が現実化した経験則上認められること」をいいます。

これをおさえておけば、通勤災害と混同せずに解答ができるようになります。

参考になった数4

03

労災保険法(労働者災害補償保険法)に基づく保険給付とは、業務中や通勤途中の傷病(ケガ)・病気・障害、死亡に対して、労働者やその遺族に国から必要な保険給付を行い、併せて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。

 

そして、業務災害とは、業務が原因で労働者が負ったケガや障害、死亡事故のことを言います。

業務災害として認められる要件は、以下の2つの要件を満たすことです。

 

①業務遂行性(事業主の管理下において行動していること)

②業務起因性(事業主の支配下を離れていないと判断されること)

 

業務災害に関する問題は具体的な事例で出題されますが、上記の要件を頭に入れて判断すると正解を導くことができます。

具体的な選択肢を確認していきましょう。

 

ア  鉄道保線作業に従事する労働者が、休日に自己の担当する鉄道沿線で事故があったため、使用者の呼び出しを受けて自宅から現場にかけつける途上で、つまずいて転倒し、負傷した場合

業務災害として保険給付の対象となります。

本問の労働者は休日ですが、①使用者の呼び出しを受けて現場に駆け付けている点で、業務遂行性が認められます。

また、②現場に駆け付ける途中の負傷ですので、呼び出しをした事業主の支配下にあるといえ、業務起因性も認められます。

 

イ 職場から2駅離れた社宅に居住する労働者が、休日に、台風のため社宅付近の大木が倒れたことに伴って切断された高圧電線がショートし、枯木に火が付く様子を社宅から目撃したことから、社宅への延焼を防止しようと作業していたところ、強風にあおられた高圧電線に接触して死亡した場合

業務災害として保険給付の対象となりません。

たしかに社宅への延焼を防止しようと作業しており、会社のための行動ではあるものの、①自主的に行っており、事業主の指示もないため、業務遂行性はありません。

また、②事業主の管理下における行動ではないため、事業主の支配も及んでいないといえ、業務起因性もありません。

したがって要件を満たさないので、業務災害には該当しません。

 

ウ  職業能力開発促進法に基づく技能検定であって、職務に関連する職種に係るものを、使用者から出張命令を受けて受検した労働者が、実技試験中に当該実技に起因して負傷した場合

業務災害として保険給付の対象となります。

①職務に関連する職種に係る技能検定の受検であり、使用者から出張命令を受けて受検しているので、業務遂行性があります。

また、②実技試験中の負傷であるため、事業主の支配下にあるといえることから、業務起因性も認められます。

 

エ  山岳地区であって地理的条件から天候の変化が激しく、雷の発生頻度も高い地域で、山頂より100メートル下方で植生盤の植付作業をしていた労働者が、夕立のような異様な天候になったので、作業を中止し、他に適当な退避場所がなかったことから山頂の休憩小屋に退避しようと移動していたときに、落雷の直撃を受けて死亡した場合

業務災害として保険給付の対象となります(通達昭和36年3月13日)。

①労働者は「山岳地区であって地理的条件から天候の変化が激しく、雷の発生頻度も高い」という危険地域において労働していたことから、①事業主の指示に基づく労働であると読み取ることができ、業務遂行性が認められます。

②そして、作業中に悪天候になっており待避したという点で、事業主の指揮監督下にある労働中と認められ、業務起因性も認められます。

 

オ  通常は私鉄バスを利用して帰宅する夜勤労働者が、当該私鉄バスのストライキによる運休のため、早朝、電車で帰宅するつもりでバス停とは反対方向の鉄道駅に向かっている途上で自動車にはねられ、負傷した場合

業務災害として保険給付の対象となりません。

本問の夜勤労働者は、すでに仕事を終えて帰宅途中に負傷していますので、①既に事業主の管理下にはなく、②事業主支配下にもないので、業務遂行性、業務起因性のいずれも認められません。

なお、帰宅途中の負傷であり、通勤中の負傷ですので、「通勤災害」として扱われます。

 

したがって、保険給付の対象となるものは3つです。

選択肢1. 一つ

誤った選択肢です。

保険給付の対象となるものは3つです。

選択肢2. 二つ

誤った選択肢です。

保険給付の対象となるものは3つです。

選択肢3. 三つ

正しい選択肢です。

保険給付の対象となるものは3つです。

選択肢4. 四つ

誤った選択肢です。

保険給付の対象となるものは3つです。

選択肢5. 五つ

誤った選択肢です。

保険給付の対象となるものは3つです。

まとめ

業務災害については頻出であり、要件さえ覚えてしまえばその場で判断できる問題が多いため、重要な得点源になります。

過去問も何問も出題されていますから全てについて問いてみて、自分なりの感覚をつかんで解けるように練習しておきましょう。

参考になった数0