社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問13 ((択一式)労働者災害補償保険法 問3)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問13((択一式)労働者災害補償保険法 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

厚生労働省労働基準局長通知「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号。以下本問において「認定基準」という。)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア  認定基準にいう「特に過重な業務」とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうが、ここでいう日常業務には、労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務が含まれる。
イ  認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つに勤務時間の不規則性があり、特に長期間の過重業務の判断に当たっては、勤務間インターバルがおおむね9時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされている。
ウ  認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つである作業環境(温度環境、騒音)は、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に評価するのに対し、短期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討することとされている。
エ  器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する者が、認定基準にいう対象疾病である虚血性心疾患等を発症した場合については、業務と発症との関連が認められることはない。
オ  労災保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による脳・心臓疾患の認定に関しては、認定基準における過重性の評価に際して、二以上の事業の業務による業務の過重性の検討に当たり、異なる事業における労働時間を通算して評価する。
  • (アとイ)
  • (アとウ)
  • (イとエ)
  • (ウとオ)
  • (エとオ)

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この過去問の解説 (3件)

01

通達からの問題です。
通達からの出題は厳しいところもありますが、本問のような重要通達はおさえておきましょう。

 

ア 誤りの肢です。
本問の通達では日常業務は、

「ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。」

と定義しています。

 

イ 誤りの肢です。
本問の通達では、

「なお、長期間の過重業務の判断に当たっては、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価すること。」

となっており、9時間ではありません。

 

ウ 記載の通りです。
「長期間の過重業務の判断に当たっては、付加的に評価すること。」

「短期間の過重業務の判断においては、前記2(4)ウ(カ)の作業環境について、付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討すること。」
とされており正しいです。

 

エ 誤りの肢です。
「器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する場合についても、その病態が安定しており、直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合であって、業務による明らかな過重負荷によって自然経過を超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合には、業務と発症との関連が認められるものであること。
ここで、「著しく重篤な状態に至った」とは、対象疾病を発症したことをいう。」
とあり、認められる可能性があることは明白です。

 

オ 記載の通りです
「業務の過重性の検討に当たっては、異なる事業における労働時間を通算して評価する。また、労働時間以外の負荷要因については、異なる事業における負荷を合わせて評価する。」
とされており正しいです。

 

よって正解はウとオで4となります。

選択肢1. (アとイ)

誤りの肢です。
 

選択肢2. (アとウ)

誤りの肢です。
 

選択肢3. (イとエ)

誤りの肢です。

選択肢4. (ウとオ)

正解の肢です。
 

選択肢5. (エとオ)

誤りの肢です。
 

まとめ

通達から出る問題は難しいですがイ以外は軽く読み込んでおけばわかる内容です。

重要な通達は各種テキストや予備校などでも記載があるかと思いますので、是非チェックしておきましょう。

イは重箱の隅をつつくような問題ですが、勤務間インターバルについて労一で勉強していればなんとなくわかる問題かもしれません。

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02

「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」をもとに認定要件の具体的判断を問う問題です。

 

ア 誤りです。

日常業務は労働基準法第36条に基づく労使協定により、延長することができる労働時間内に行う業務が含まれるのではなく、所定労働時間内に行う業務となります。

 

イ 誤りです。

勤務間インターバルについては正しくはおおむね11時間未満が目安となります。

 

ウ 正しいです。

認定基準においては、労働時間と労働時間以外の負荷要因の総合的な評価を行うものとされています。

労働時間以外の負荷要因として作業環境もその要因として考慮されるものであり、特に短期間の加重業務に判断に当たっては十分に検討されることになります。

 

エ 誤りです。

器質的心疾患の発症と業務の関連性については、一律に認められないということにはなりません。

 

オ 正しいです。

認定基準における過重性の評価にあたり、二以上の事業の業務による業務の過重性がある場合は、異なる事業における労働時間を通算して評価することになります。

選択肢1. (アとイ)

誤りです。

選択肢2. (アとウ)

誤りです。

選択肢3. (イとエ)

誤りです。

選択肢4. (ウとオ)

正しいです。

選択肢5. (エとオ)

誤りです。

まとめ

テキストには記載されていない事項も多く、難しい問題と思いますが、5つの選択肢のうち正しい2つはある程度類推できるのではないかと考えます。

参考になった数6

03

厚生労働省労働基準局長通知「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号。)は、脳梗塞や心筋梗塞などが業務による過重負荷で発症した場合の労災認定基準を定めた文書です。

 

労災の認定に当たっては、長時間労働だけでなく、勤務間インターバル不足、心理的負荷、ハラスメント、出張、交替勤務なども総合評価することが示されています。また、「月100時間超の時間外労働」や「2~6か月平均80時間超の時間外労働」は業務との関連性が強い目安として明記されています。

 

選択肢の内容を具体的に見ていきましょう。

 

ア  認定基準にいう「特に過重な業務」とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうが、ここでいう日常業務には、労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務が含まれる。

内容が誤っています。

「特に過重な業務」があったか否かは、認定基準の重要な要素として判断されます。

「特に過重な業務」とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務と定義されています。

したがって、選択肢前段は正しいです。他方で、ここでいう「日常業務」とは、「通常の所定労働時間内の所定業務内容」を言うとされています。

よって、「労働基準法第36条に基づく労使協定により延長することができる労働時間内に行う業務が含まれる」としている点で、本肢の内容は誤りです。

 

イ  認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つに勤務時間の不規則性があり、特に長期間の過重業務の判断に当たっては、勤務間インターバルがおおむね9時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされている。

内容が誤っています。

前段は正しいです。

しかし、長期間の過重業務の判断に当たっては、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無等について検討し、評価することとされています。

これは、睡眠時間確保の観点からの基準です。

 

ウ  認定基準において、業務の過重性の具体的な評価を行うに当たって検討すべきとされている負荷要因の1つである作業環境(温度環境、騒音)は、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に評価するのに対し、短期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討することとされている。

正しい内容です。

選択肢の内容のとおりです。

その理由は、通達には明記されていませんが、以下の通りです。

認定基準では、業務の過重性を評価する際の負荷要因の一つとして作業環境(温度環境・騒音)が挙げられています。

しかし、長期間の過重業務の判断においては、疲労の蓄積を中心に評価する考え方が採られているため、作業環境は付加的な要素として位置付けられます。

一方、短期間の過重業務の判断においては、発症に近接した時期の急性的な負荷を評価するため、著しい暑熱・寒冷環境や騒音環境がそれ自体で急激な身体的負荷となり得ます。

このため、作業環境については付加的な考慮にとどめず、労働時間や勤務形態等の他の負荷要因と同様に十分検討することとされています。

 

エ  器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する者が、認定基準にいう対象疾病である虚血性心疾患等を発症した場合については、業務と発症との関連が認められることはない。

内容が誤っています。

器質的心疾患とは、心臓の筋肉(心筋)、弁、血管などの構造や形そのものに物理的な異常や損傷がある疾患の総称を言います。

器質的心疾患はもともと異常や損傷があるので、虚血性心疾患等を発症したとしても、その原因はもともとも異常によるものであり、業務との関連が認められないのではないか、という問題意識から来ています。

しかし、そのようなことはありません。

器質的心疾患を有する場合についても、その病態が安定しており、直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合であって、業務による明らかな加重負荷によって、自然経過を超えて著しく重篤な状態に至った(すなわち、対象疾病を発症した)と認められる場合には、業務と発症との関連は認められます。

 

オ  労災保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による脳・心臓疾患の認定に関しては、認定基準における過重性の評価に際して、二以上の事業の業務による業務の過重性の検討に当たり、異なる事業における労働時間を通算して評価する。

正しい内容です。

選択肢の内容のとおりです。

労働者が二以上の事業の業務に従事している場合には、その分の負担が労働者にかかってくることになりますので業務の過重性の判断に当たっても、異なる事業における労働時間を通算して評価されます。

 

 

したがって、正しいものの組み合わせは、ウとオです。

選択肢1. (アとイ)

誤った選択肢です。

正しいものの組み合わせは、ウとオです。

選択肢2. (アとウ)

誤った選択肢です。

正しいものの組み合わせは、ウとオです。

選択肢3. (イとエ)

誤った選択肢です。

正しいものの組み合わせは、ウとオです。

選択肢4. (ウとオ)

正しい選択肢です。

選択肢5. (エとオ)

誤った選択肢です。

正しいものの組み合わせは、ウとオです。

まとめ

細かい内容ですが、本件の通達は重要通達なので覚えておきましょう。

また、このように細かい問題であっても、一般常識に照らして考えると選択肢が絞れるので、あきらめずに考えてみましょう。

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