社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問14 ((択一式)労働者災害補償保険法 問4)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問14((択一式)労働者災害補償保険法 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

休業補償給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であり、その最低額が2,000円である。
  • 労災保険法第8条の2第2項は、業務災害により休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して3年を経過した日以後の日である場合において、同条同項各号のいずれかに該当するときは、当該休業補償給付を受けるべき者の休業給付基礎日額は、当該者の基準日(当該休業補償給付を受けるべき者の当該休業補償給付を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日)における年齢の属する年齢階層について厚生労働大臣が定めた額とする旨規定している。
  • 休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であっても、出勤停止の懲戒処分を受けたために雇用契約上の賃金請求権を有しない場合には支給されない。
  • 休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付の請求後に行わなければならない。
  • 休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法に基づく障害厚生年金又は国民年金法に基づく障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、当該障害厚生年金又は当該障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されるが、当該算定された額が労災保険法施行令第1条第1項で定める額を下回る場合には、同条同項で定める額となる。

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この過去問の解説 (3件)

01

労災保険の給付に関しての問題です。
保険給付については社会保険科目、雇用保険などと似たような話が多いので横断的に整理して理解することが重要です。

選択肢1. 第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であり、その最低額が2,000円である。

誤りの肢です。
第一種特別加入者の給付基礎日額の最低額は原則3500円です。(労災保険法施行規則第46条の20)
家内労働者など賃金を考慮し2000円、2500円、3000円が認められる場合もありますが、いずれにせよ第一種特別加入者(中小事業主等)ではありません。(労災保険法施行規則附則)
 

選択肢2. 労災保険法第8条の2第2項は、業務災害により休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して3年を経過した日以後の日である場合において、同条同項各号のいずれかに該当するときは、当該休業補償給付を受けるべき者の休業給付基礎日額は、当該者の基準日(当該休業補償給付を受けるべき者の当該休業補償給付を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日)における年齢の属する年齢階層について厚生労働大臣が定めた額とする旨規定している。

誤りの肢です。
条文では、

「休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して一年六箇月を経過した日以後の日である場合において、次の各号に掲げる場合に該当するときは、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める額を休業給付基礎日額とする。」

となっており、3年ではなく1年6か月です。

選択肢3. 休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であっても、出勤停止の懲戒処分を受けたために雇用契約上の賃金請求権を有しない場合には支給されない。

誤りの肢です。
「浜松労基署長(雪島鉄工所)事件」では、

「法一四条一項に規定する休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合に支給されるものであり、右の条件を具備する限り、その者が休日又は出勤停止の懲戒処分を受けた等の理由で雇用契約上賃金請求権を有しない日についても、休業補償給付の支給がされると解するのが相当である。」

とされています。

選択肢4. 休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付の請求後に行わなければならない。

誤りの肢です。
休業特別支給金の支給申請は、休業補償給付の請求と同時に行います。
(労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条の5)
傷病特別支給金、傷病特別年金については傷病(補償)等年金が職権で支給決定される(=申請を伴わない)ので、申請しなくとも申請があったものとして取り扱われることも覚えておきましょう。
 

選択肢5. 休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法に基づく障害厚生年金又は国民年金法に基づく障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、当該障害厚生年金又は当該障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されるが、当該算定された額が労災保険法施行令第1条第1項で定める額を下回る場合には、同条同項で定める額となる。

記載の通りです。
労災保険と障害厚生年金、障害基礎年金の併給調整は労災保険の年金給付額が減額支給となります。
労災保険法14条において、「その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額」と記載があり、施行令第1条でその額が定められています。
尚、20歳前傷病による障害基礎年金の場合は障害基礎年金が支給停止になり労災保険が全額支給となること、同一の事由により支給される年金でない場合は併給調整の対象にならないこともおさえておきましょう。
 

まとめ

細かい内容を聞いてはいますが、割とメジャーな論点かと思います。

択一試験は文章が長く、本番では結構疲れます。

余裕があれば過去問で繰り返し問われている論点はチェックすべきポイントをすぐ見つけられるようにしておくといいと思います。

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02

労災保険の保険給付と、それに上乗せして支給される特別支給金に関連する事項をセットにされた出題です。

選択肢1. 第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であり、その最低額が2,000円である。

誤りです。
第1種特別加入者の給付基礎日額の最低額は3,500円となります。

家内労働者及びその補助者については、3,500円より低額で最低額は2,000円となります。

選択肢2. 労災保険法第8条の2第2項は、業務災害により休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して3年を経過した日以後の日である場合において、同条同項各号のいずれかに該当するときは、当該休業補償給付を受けるべき者の休業給付基礎日額は、当該者の基準日(当該休業補償給付を受けるべき者の当該休業補償給付を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日)における年齢の属する年齢階層について厚生労働大臣が定めた額とする旨規定している。

誤りです。
休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して1年6箇月を経過した日以後の日である場合において、年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます。

選択肢3. 休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であっても、出勤停止の懲戒処分を受けたために雇用契約上の賃金請求権を有しない場合には支給されない。

誤りです。
最高裁は、労災保険法14条1項の休業補償給付について、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあり、賃金を受けることができないという要件を満たす限り、休日や出勤停止の懲戒処分を受けたために、雇用契約上の賃金請求権がない日であっても支給されると判断しています。

(浜松労基署長(雪島鉄工所)事件、正式事件名は 労働者災害補償不支給処分取消請求上告事件、最高裁判所第一小法廷・昭和58年10月13日判決・昭和58年(行ツ)第4号)

つまり、「出勤停止だから支給されない」というのは誤りです。

選択肢4. 休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付の請求後に行わなければならない。

誤りです。

休業特別支給金の支給申請は、当該休業補償給付の請求と同時に行わなければならない(請求と同時申請の原則)とされています。

選択肢5. 休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法に基づく障害厚生年金又は国民年金法に基づく障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、当該障害厚生年金又は当該障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されるが、当該算定された額が労災保険法施行令第1条第1項で定める額を下回る場合には、同条同項で定める額となる。

正しいです。

同一の事由により労災保険の年金給付と社会保険の年金給付が併給される場合には、社会保険の年金給付は全額支給されますが、労災保険の年金給付には一定の率(調整率)が乗じられ、減額支給されます。

休業補償給付についても、障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されます。

その結果、調整前の労災保険の給付額よりも少なくなってしまうときは、調整前の休業補償給付の額から併給される社会保険の年金額を365で除して得た額を減じた額を「政令で定める額」として加算されます。

これにより減額調整する前の労災保険給付の額に相当する額が保障されることになります。

まとめ

選択肢の中には一般的なテキストにはあまり掲載されていない判例からの出題があり迷う可能性があります。

正しいものはどれかに絞って正解に辿りつければベストです。

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03

休業補償給付とは、業務中や通勤中のケガ・病気が原因で働けなくなった場合に、労災保険から労働者へ支給される生活保障の制度をいいます。

 

 

選択肢1. 第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であり、その最低額が2,000円である。

誤った選択肢です。

 

そもそも労災法の対象者は、雇用形態にかかわらず、賃金を受けるすべての労働者です。

他方で、本来労働者ではないものの、業務の実態や災害リスクが労働者とかわらないことから、例外的に労災保険の補償対象として認められる場合があります。

これが、労災保険の特別加入制度です。

特別加入が認められるのは、以下のグループに属する者です。

 

種別対象者
第1種中小企業事業主
第2種一人親方
特定作業従事者(フリーランスなど)
第3種海外派遣者


第1種特別加入者の給付基礎日額として厚生労働大臣が定める額は、その最高額が25,000円であるというのは正しいです。

しかし、最低額は3,500円です。

選択肢2. 労災保険法第8条の2第2項は、業務災害により休業補償給付を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付に係る療養を開始した日から起算して3年を経過した日以後の日である場合において、同条同項各号のいずれかに該当するときは、当該休業補償給付を受けるべき者の休業給付基礎日額は、当該者の基準日(当該休業補償給付を受けるべき者の当該休業補償給付を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日)における年齢の属する年齢階層について厚生労働大臣が定めた額とする旨規定している。

誤った選択肢です。

 

年齢階層ごとの最低・最高限度額の規定が適用されるのは、休業補償給付にかかる療養を開始した日から起算して「1年6か月」を経過した日以降の日において、休業給付基礎日額が年齢階層ごとの最低限度額に満たない場合、又は最高限度額を超える場合です。

 

したがって、選択肢は「3年を超える日」としている点で誤りです。

選択肢3. 休業補償給付は、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であっても、出勤停止の懲戒処分を受けたために雇用契約上の賃金請求権を有しない場合には支給されない。

誤った選択肢です。

 

懲戒処分としての出勤停止と、業務上の疾病による労働不能とは事由が異なります。たとえ出勤停止を受けており、賃金請求権を有しない場合であっても、労働者が業務上の傷病により療養のため労働不能の状態にあって賃金を受けることができない場合であれば、休業補償給付は支給されます。

選択肢4. 休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付の請求後に行わなければならない。

誤った選択肢です。

 

休業特別支給金とは、業務中や通勤中のケガ・病気で仕事を休んだ場合に、休業補償給付に上乗せして支給される金銭をいいます。

休業4日目から1日につき給付基礎日額の20%が支給され、基本の60%と合わせて計80%が支給される仕組みになっています。

 

そして、休業特別支給金の支給対象となる日について休業補償給付を受けることができる者は、当該休業特別支給金の支給申請を、当該休業補償給付請求と「同時に」行わなければならないとされています。

選択肢5. 休業補償給付を受ける労働者が、同一の事由について厚生年金保険法に基づく障害厚生年金又は国民年金法に基づく障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、当該障害厚生年金又は当該障害基礎年金と傷病補償年金との調整について定める率を用いて算定されるが、当該算定された額が労災保険法施行令第1条第1項で定める額を下回る場合には、同条同項で定める額となる。

正しい選択肢です。

 

選択肢のとおりです。内容が難しいですが、解説すると以下のとおりです。

 

休業補償給付を受給している労働者が、同じ傷病を原因として障害厚生年金または障害基礎年金を受給できる場合には、同一事由による給付の重複(二重どり)を調整するため、休業補償給付の額は法律で定められた調整率を用いて減額して算定されてしまいます。

 

しかし、その調整後の支給額が労災保険法施行令で定める最低保障額を下回ってしまう場合には、労働者の生活保障の観点から、最低保障額が支給されることとされています。

 

つまり、障害年金との併給により休業補償給付は一定程度減額されてしまうものの、支給額が過度に低くならないように、最低限が補償されているということです。

まとめ

選択肢の内容自体が難しい者も多かったですが、肢は基本的な事項ですので、それぞれ確認して覚えましょう。

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