社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問16 ((択一式)労働者災害補償保険法 問6)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問16((択一式)労働者災害補償保険法 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

二次健康診断等給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。
  • 二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。
  • 二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。
  • 特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。
  • 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。

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この過去問の解説 (3件)

01

二次健康診断給付についての問題です。
学習の際は給付の条件や請求期限、受給手続きなどを中心に確認しておきましょう。

選択肢1. 二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。

記載の通りです。
労災保険法施行規則第11条の3に、
「法の規定による二次健康診断等給付は、法第二十九条第一項の社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所において行う。」
と定められております。

選択肢2. 二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。

記載の通りです。
労災保険法第26条に二次健康診断給付の大枠が定められており、範囲も規定されています。
「二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。
一 脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査(前項に規定する検査を除く。)であつて厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(一年度につき一回に限る。以下この節において「二次健康診断」という。)
二 二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに一回に限る。次項において「特定保健指導」という。)」
本肢で問われている健康診断については1年度につき1回とされています。
特定健康指導については二次健康診断ごとに1回に限るとされている点も確認しておきましょう。

選択肢3. 二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。

記載の通りです。
「二次健康診断給付として〜に限り支給される。」の解説内の特定保健指導について、栄養指導、運動指導及び生活指導になります。


イ 特定保健指導(新労災法第 26 条第 2 項第 2 号及び同条第 3 項関係)
特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づき、脳及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師、保健婦又は保健士による保健指導をいうこと。
具体的には次の指導の全てを行うものであること。
(ア)栄養指導
(イ)運動指導
(ウ)生活指導
(平13.3.30基発第233号)

選択肢4. 特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。

記載の通りです。
特別加入者は安全衛生法の適用対象者ではないので、安衛法に基づく定期健康診断を行わないことになります。


労災保険法第26条において、二次健康診断給付は以下の通り規定されています。
「次健康診断等給付は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条第一項の規定による健康診断又は当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断のうち、直近のもの(以下この項において「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であつて、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く。)に対し、その請求に基づいて行う。」


上記より、安衛法の健康診断が前提となっている二次健康診断給付の対象とはならないということです。
尚、通達にも以下の記載があります。
「(1)特別加入者の取扱い(新労災法第 34 条から第 36 条まで関係)
二次健康診断等給付は、事業主による業務軽減などの適切な予防対策に結びつけることを趣旨としているが、特別加入者については、安衛法の適用がないことから定期健康診断等の適用対象となっておらず、健康診断の受診について自主性に任されていることから二次健康診断等給付の対象としないこととすること。」(平13.3.30基発第233号)

選択肢5. 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。

誤りの肢です。
二次健康診断給付の定番といってもよい問題です。
「特別加入者は〜対象とならない。」の解説で引用した第26条に記載のとおり、「いずれの項目にも異常の所見があると診断されたとき」が二次健康診断給付の対象です。
「いずれか」ではありません。

まとめ

二次健康診断はそこまで難しい問題が出ていない印象です。
一方、労災保険法施行規則第18条の16にある検査項目など細かい問題も作ろうと思えば作れます。
例えば平成23年の労災保険法問6などは知らなければ正確に解答できず、しかも大変細かい論点ですが、同じような問題がでる可能性は大いにあります。
条文、別表は可能であれば一読しておいた方が良いでしょう。

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02

二次健康診断等給付とは、その結果に基づき、具体的な予防活動を促進するために有効な医師等による指導を実施することによって、過労死や突然死を予防することを目的としています。

選択肢1. 二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。

正しいです。

二次健康診断等給付の実施機関の以下2つを「健診給付病院等」といいます。
①社会復帰促進事業として設置された病院又は診療所

②都道府県労働局長の指定する病院又は診療所

二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定事項を記載した請求書を、健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならないとされています。

選択肢2. 二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。

正しいです。

二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限るとされています。

仮に、同一年度内に一人の労働者に対して2回以上の定期健康診断等を実施している事業場であっても、一次健康診断において給付対象初見が認められる場合に当該年度内に1回に限り支給されるものとなります。

選択肢3. 二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。

正しいです。

「二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。」の設問に関連し補足すると、二次健康診断の結果に基づき行われる保険指導は、二次健康診断ごとに1回に限るとされています。

選択肢4. 特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。

正しいです。

特別加入者と船員法の適用を受ける船員は労働安全衛生法が適用除外とされており、これらの者に一次健康診断は行われないため、二次健康診断等給付の対象となりません。

選択肢5. 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。

誤りです。

一次健康診断により、次の給付対象所見のいずれの項目にも異常があると診断された労働者が二次健康診断等給付の対象となります。

①血圧の測定

②血中脂質検査

③血糖検査

④腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定

上記の4つの給付対象所見のいずれにも異常の所見があると過労死予備軍とされています。

まとめ

各選択肢の文章のボリュームも少なく短時間で回答でき、外すのはもったいない問題という感想です。

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03

二次健康診断等給付とは、一次定期健康診断で一定の異常所見(血圧や血糖など)が認められた労働者に対し、脳血管・心臓疾患を予防するため、脳・心臓の精密検査と特定保健指導を無料で受けられるようにする労災保険の制度を言います。

 

脳疾患・心臓疾患を原因とする過労死が多いことから、このようなリスク(異常所見)がある人を対象に精密検査や特定保健指導を無料で受けることができるようにすることによって、過労死を予防し、労働者の健康に資することを目的としています。

 

なお、誤解が多いのですが、二次健康診断等給付は「現物給付」です。

二次健康診断又は特定保健指導に要した費用が支払われるのではなく、診断自体及び保健指導自体が「現物」として給付されます。

選択肢1. 二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行う。

正しい選択肢です。

 

二次健康診断等給付は、労災病院及び都道府県労働局長が指定する病院・診療所(「健診給付病院等」。)において、無料で受診できます。

二次健康診断等給付を行う病院又は診療所の指定は、都道府県労働局長が行います。

 

なお、都道府県労働局長は、二次健康診断等給付を行う病院若しくは診療所を指定し、又はその指定を取り消すときは、当該病院又は診療所の名称及び所在地を公告しなければならないとされています。

選択肢2. 二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給される。

正しい選択肢です。

 

1年度内で二次健診を行い検査をすれば異常所見の要否などを把握することができ、給付の目的は達成できますので、二次健康診断等給付として行われる二次健康診断は、対象労働者一人につき、1年度内1回に限り支給されます。

 

なお、同一年度内に労働者の1人に対して複数回以上の定期健康診断等を実施しており、異常の初見が認められた場合であっても、複数回の給付を受けることはできません。

選択肢3. 二次健康診断等給付として行われる特定保健指導(二次健康診断の結果に基づき行われる保健指導)は、医師又は保健師による面接によって行われ、栄養指導、運動指導及び生活指導の内容により行われる。

正しい選択肢です。

 

特定保健指導は、二次健康診断の結果に基づき、脳・心臓疾患の発症の予防を図るため、医師または保健師の面接により行われる保健指導をいいます。次の指導が行われます。
(1)栄養指導
(2)運動指導
(3)生活指導
 

特定保健指導を行うのは「医師又は保健師」です。「歯科医師」は行いません。

ひっかけの頻出肢ですので、併せて覚えておきましょう。


なお、特定保健指導は、脳・心臓疾患の発症の予防を目的としていますので、二次健診の結果、脳・心臓疾患の症状を有していると診断された場合は、特定保健指導は、実施されません。

選択肢4. 特別加入者は、二次健康診断等給付の対象とならない。

正しい選択肢です。

 

特別加入者とは、本来「労働者」ではないものの、業務実態や災害発生状況が労働者と類似していることから、保護の必要性が高いとして特別に労働保険(主に労災保険)への加入が認められている者を言います。

特別加入できる方の範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。

 

このような特別加入者は、二次健康診断等給付の対象となりません。

これは、二次健康診断等給付が、事業者に実施義務のある定期健康診断の結果を前提とした制度だからです。

特別加入者は労働者ではありませんから、労働安全衛生法上の健康診断の実施義務の対象者ではありません。

そのため、二次健康診断等給付の前提となる定期健康診断制度が適用されず、二次健康診断等給付の対象にもなりません。(平13.3.30基発第233号)

選択肢5. 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法第66条第1項の規定に基づき行われた直近の健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、当該検査項目のいずれかに異常の所見があると診断されたときに、当該労働者に対し、その請求に基づき行われる。

誤った選択肢です。

 

二次健康診断等給付は、直近の一次健康診断において、血圧検査等所定の検査を受けた労働者が、そのいずれの検査項目にも異常の所見があると診断された場合に、当該労働者の請求に基づき行われる給付です。

選択肢は「いずれか」としている点で誤りです。

 

なお、検査項目は具体的に以下のとおりです。

(1)血圧検査
(2)血中脂質検査
(3)血糖検査
(4)腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
 

さらに、一次健康診断の担当医師により、(1)から(4)の検査項目において「異常なし」と診断された場合であっても、労働安全衛生法に基づき事業場に選任されている産業医等が、就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見を認めた場合には、産業医等の意見が優先され、二次健康診断等給付を受けることができます。

まとめ

二次健康診断等給付は2001年(平成13年)4月1日からスタートした制度で、比較的新しいともいえます。

内容も限定されていて得点源にしやすいので、過去問をしっかり復習しておきましょう。

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