社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問20 ((択一式)労働者災害補償保険法 問10)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問20((択一式)労働者災害補償保険法 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 事業主は、労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続について、労働保険事務組合に処理を委託することができない。
  • 事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理できる労働保険事務組合とは、労働保険徴収法第33条に規定する団体等であって法人でなければならない。
  • 政府が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料等についての督促状による督促を、直接当該事業主に対してすることなく当該労働保険事務組合に対して行った場合、その効果は当該事業主に対して及ばない。
  • 督促状による督促があった旨の通知を労働保険事務組合から受けた滞納事業主が、労働保険事務処理規約等に規定する期限までに労働保険料の納付のための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったために延滞金を徴収される場合、当該労働保険事務組合は延滞金の納付責任を負う。
  • 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に使用されていた者が、前年に当該労働保険事務組合の虚偽の届出により労災保険の保険給付を不正に受給していた場合、政府は当該労働保険事務組合に対して、当該不正受給者と連帯し、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

労働保険事務組合については頻出論点といえると思いますが、そこまで覚える論点も多くない気がします。
特に本問はほぼ条文知識のみの問題ですから基礎編です。

選択肢1. 事業主は、労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続について、労働保険事務組合に処理を委託することができない。

誤りの肢です。
労働保険事務組合が行える業務についての問です。
徴収法第33条に定められていますが、できないことを覚える方が早いかと思います。
印紙保険に関する事項が同条にて除外されているほか、労災保険の保険給付及び社会復帰促進事業として行う特別支給金に関する請求書等に係る事務手続き及びその代行、雇用保険の失業等給付に関する請求書等に係る事務手続き及びその代行、雇用保険の二事業に係る事務手続き及びその代行などです。
当該肢で問われている労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続は委託できます。

選択肢2. 事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理できる労働保険事務組合とは、労働保険徴収法第33条に規定する団体等であって法人でなければならない。

誤りの肢です。
徴収法第33条1項の記載は、
「中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であつて代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)」
とされており、法人でなければならないとは規定されていません。
尚、法人でない団体については代表者の定めがあるほか、団体性が明確であることが求められます。

選択肢3. 政府が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料等についての督促状による督促を、直接当該事業主に対してすることなく当該労働保険事務組合に対して行った場合、その効果は当該事業主に対して及ばない。

誤りの肢です。
徴収法第34条で、政府が事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付について労働保険事務組合に対してできること、またその告知や還付が当該事業主に対してしたものとみなす旨規定されています。
事業主に対して行ったとみなす以上、その効果が事業主にも及ぶことは明白です。
尚、念のため申し添えると、「みなす」とは事実がどうであったかは関係なく、その事実があったとして取り扱うことです。
 

本肢の場合は事業主にも告知しようがしまいがしたものとして取り扱います。
法律の世界ではよく「推定する」と対比されますが、こちらは一応事実があったものとして取り扱うものの、反証があった場合には事実を優先することになります。
反証を許すか許さないかがみなすと推定するのざっくりした違いですが、ここを入れ替える問題は定番中の定番です。
テキストを読み込む際にみなすのか推定するのか正しく理解するようにしましょう。

選択肢4. 督促状による督促があった旨の通知を労働保険事務組合から受けた滞納事業主が、労働保険事務処理規約等に規定する期限までに労働保険料の納付のための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったために延滞金を徴収される場合、当該労働保険事務組合は延滞金の納付責任を負う。

誤りの肢です。
徴収法第35条にて労働保険事務組合の責任を定めています。
2項では、

「労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。」

とあり、延滞金の徴収については労働保険事務組合の帰責性を求めています。
 

本肢のケースでは事業主が納付ために金銭を交付しなかったために延滞金を徴収されており、事業主の責任ですので労働保険事務組合は延滞金の納付責任を負いません。
尚、1項では、

「事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。」

としている点も確認しておきましょう。

選択肢5. 労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に使用されていた者が、前年に当該労働保険事務組合の虚偽の届出により労災保険の保険給付を不正に受給していた場合、政府は当該労働保険事務組合に対して、当該不正受給者と連帯し、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。

記載の通りです。
徴収法第35条4項で、
「労働保険事務組合は、労災保険法第十二条の三第二項の規定及び雇用保険法第十条の四第二項の規定の適用については、事業主とみなす。」
とされています。
労災保険法第12条の3は、
「偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。」
と定め、同2項では、
「前項の場合において、事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該元請負人。以下同じ。)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。」
としています。


本肢のケースは上記に当てはまるケースですので労働保険事務組合は連帯して責任を負う事となります。
よって正しい選択肢です。

まとめ

本問は非常に基本的な問題といえます。
社労士試験の難易度は内容というより1問のウェイトの大きさによるところが大きいので、間違えた場合はテキストを読み返して確実に得点できるようにしましょう。

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