社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問29 ((択一式)雇用保険法 問9)
問題文
なお、本問において「特例対象者」とは、雇用保険法第22条第5項に規定する者をいう。
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問29((択一式)雇用保険法 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
なお、本問において「特例対象者」とは、雇用保険法第22条第5項に規定する者をいう。
- 特例納付保険料を納付することができる事業主は、2年以内の算定基礎期間を遡及して計算することが可能な特例対象者を雇用していた事業主である。
- 特例納付保険料の納付手続については、労働保険徴収法第15条及び同法第19条に定める概算・確定保険料の納付手続に係る規定は適用されない。
- 特例納付保険料の納付の申出は、事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。
- 特例納付保険料の対象事業主が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合、当該労働保険事務組合は特例納付保険料の納付等に係る事務を処理することができる。
- 特例納付保険料の納付の申出を行った対象事業主が、特例納付保険料を納付する場合の納付先は、日本銀行又は都道府県労働局収入官吏とされている。
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この過去問の解説 (3件)
01
徴収法からの出題です。
特例納付保険料についてですが、比較的簡単な問題ですので、知識の定着確認という意味でチャレンジしてみましょう。
誤りの肢です。
2年以内ではなく、2年前の日より前です。
よってこちらが正解肢となります。
(雇用保険法第22条第5項、徴収法第26条、雇用保険に関する業務取扱要領25001)
特例納付保険料を理解する前提として、雇用保険料の時効を考えておく必要があります。
雇用保険料の時効は2年であり、本肢のように2年以内であれば時効がきていませんから、普通に遡って納付すればよいのです。
しかしながら、この時効のために、2年前の日よりも前においては
・保険関係が成立した届出がなされていないのにも関わらず
・給与から保険料が天引きされていた
という場合には法律上雇用保険料を徴収できず、労働者は払い損になってしまいます。
そこで、保険料の天引きがあったことが確認できる最も古い時期まで被保険者期間や所定給付日数を決定する算定基礎期間等に算入することができることとしたのですが、そのままだと保険料が納付されていないのに失業給付が支給されることになるため、本来納付すべきであった保険料を納付できるよう特例納付保険料の制度があるということです。
記載の通りです。
特例保納付保険料は徴収法第26条にて個別に納付手続きが用意されています。
「特例納付保険料を納付することができる〜事業主である。」の選択肢の解説の通り、時効が経過しているため、政府が徴収する権利はありません。
よって、あくまでお願いベースでの納付となります。
同条2項にて「納付を”勧奨”しなければならない」となっているのはこの為です。
納付手順としては、
1.事業主が厚生労働大臣に納付の申出
2.政府が額を決定、期限を指定して通知
3.事業主は指定された期限までに納付
という流れになります。
尚、申出した場合は納付しなければなりません。
納付を申し出たにも関わらず納付しなければ徴収法第27条の督促・滞納処分、第28条の延滞金の規定の適用を受けます。
記載の通りです。
特例納付保険料の納付の申出は事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出することによって行わなけばなりません。(徴収法施行規則第58条)
条文そのままの出題です。
尚、特例納付保険料の額は徴収法施行規則第56条に定める基本額に第57条に記載の通り百分の十を乗じて得た額となります。
条文が長いので引用しませんが、基本額の計算も抑えておきましょう。
記載の通りです。
徴収法第33条に労働保険事務組合が処理できる事務について、「これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。」と規定されています。
では労働保険料とは何を指すのかというと、徴収法第10条に以下の通り記載があります。
一 一般保険料
二 第一種特別加入保険料
三 第二種特別加入保険料
三の二 第三種特別加入保険料
四 印紙保険料
五 特例納付保険料
第33条では(印紙保険料に関する事項を除く。)とはありますが、特例納付保険料が除かれるとは記載されていません。
よって、労働保険事務組合が処理できる事務に含まれます。
記載の通りです。
労働保険料等の申告及び納付は徴収法施行規則第38条に定めがあり、
「労働保険料その他法の規定による徴収金は、次の区分に従い、日本銀行又は都道府県労働局労働保険特別会計収入官吏(以下「都道府県労働局収入官吏」という。)若しくは労働基準監督署労働保険特別会計収入官吏(以下「労働基準監督署収入官吏」という。)に納付しなければならない。」
とされているところ、特例納付保険料については
「二 第一条第三項第二号の一般保険料、同号の第一種特別加入保険料及び特例納付保険料並びにこれらに係る徴収金並びに印紙保険料に係る徴収金 日本銀行又は都道府県労働局収入官吏」
とされています。
基本的な問題ですが、社労士試験は〇〇保険料が多すぎて混同しがちです。
特に徴収法においては微妙な違いが多いですから、単純に暗記しようとするより各保険料がどういうものなのか、その意味合いと紐づけて記憶する方が良いかと思います。
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02
特例納付保険料について解説します。
雇用保険の加入漏れがあった場合でも、労働保険料を徴収する権利は2年を経過すると時効によって消滅してしまいます(徴収法第41条)。
ですが、労働者のお給料からは雇用保険料として天引きしているのに、実際には保険関係成立の届出をしていなかったということが起こりえます。
そのようなことが判明した場合、2年以内であれば、保険料を徴収することができるのですが、2年を超えてしまうと時効により保険料を徴収することができなくなります。
そのため、原則としては、資格取得をして被保険者である期間が算定基礎期間になるので、保険料を徴収できない2年を超えている分については、雇用保険料を引かれているにもかかわらず所定給付日数が反映されないことになります。
ただ、それでは労働者にとっては理不尽なことになってしまうので、給料の天引きが確認されればその時点までさかのぼって被保険者であったことにしてくれます。
でも、保険料を払っていないのに基本手当などを支給したとあっては、真面目に保険料を払っている事業主に対しての公平性が損なわれてしまうので、特例納付保険料という制度を作って、時効で消滅した分の保険料も払うようにした制度です。
つまり2年の時効が過ぎた後でも、労働者の給料から保険料を天引きしていた事実が判明した場合には、本来払うべきだった雇用保険料に10%を加えた額を特別に納付することで、加入が認められる場合があります。
この際に納付する保険料を特例納付保険料といいます。
内容が誤った選択肢で、正しい選択肢です。
特例納付保険料は、確認日の2年よりも「前」の期間(時効により保険料の徴収権が消滅している期間)について、被保険者期間に含めることができるようにするための制度です。
そのため、「2年以内の算定基礎期間を遡及して計算することが可能」とする記述は誤りで、正しくは「2年を超えて遡及して確認がされた特例対象者」を雇用していた事業主が対象になります。
したがって、誤った選択肢です。
内容が正しい選択肢で、誤った選択肢です。
特例納付保険料という制度により時効消滅した分の保険料も払えるものの、徴収する権利は時効により消滅してしまっているため、あくまでも「払ってもらえませんか?」というお願いになってしまい、事業主も保険料を払う義務がない、というスタンスです。
したがって、労働保険徴収法第15条及び同法第19条に定める概算・確定保険料の納付手続に係る規定は適用されません。
内容が正しい選択肢で、誤った選択肢です。
選択肢のとおり、特例納付保険料の納付の申出は、事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地、労働保険番号並びに特例納付保険料の額を記載した書面を都道府県労働局長に提出することによって行わなければなりません。
なお、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、特例納付保険料を徴収しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納付期限と定めて、事業主に対し、①特例納付保険料の額 及び②納付期限を通知しなければならないとされています。
内容が正しい選択肢で、誤った選択肢です。
徴収法第33条は、労働保険事務組合が処理できる事務について、「これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。」と規定しています。
特例納付保険料は労働保険料に含まれます(徴収法第10条2項5)ので、選択肢のとおり、労働保険事務組合は、特例納付保険料の納付等に関する事務を処理することができます。
内容が正しい選択肢で、誤った選択肢です。
徴収法施行規則第38条3項2号は、「例納付保険料並びにこれらに係る徴収金並びに印紙保険料に係る徴収金」については、「日本銀行又は都道府県労働局収入官吏」に納付しなければならないと定めています。
徴収法は細かいですが、継続的に出題がされており重要論点も多いことから、しっかり回答できるように押さえておきましょう。
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03
特例対象者(雇用保険法に規定する算定基礎期間を2年を超えて遡及して計算できる者)に係る未納の雇用保険料で、時効により徴収権が消滅したものについても、事業主が任意かつ自主的に納付するものとして特例納付保険料があります。
誤りです。
特例納付保険料とは、雇用保険法に規定する特例対象者を雇用した事業主のうち、保険関係成立届を提出せず保険料を納付していないものが、保険料徴収権の消滅時効である2年経過後においても、消滅した期間について特例的に納付することができる保険料となります。
その徴収する権利が時効によって消滅したものに限られるため、本肢の時効期間内を意味する2年以内とするのは誤りです。
正しいです。
解説の冒頭のとおり、事業主が任意かつ自主的に納付する労働保険料であり、労働保険への加入を推進することを意図する制度です。
正しいです。
事業主の納付の申出の前提として、厚生労働大臣は対象事業主に対して、特例納付保険料の納付を勧奨しなければならないとされています。
正しいです。
特例納付保険料についても労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができます。
正しいです。
なお、特例納付保険料は、毎年徴収を必要とするものではないため、口座振替を行うことはできないとされています。
誤りの選択肢を絞りやすいことから必ず正解してほしい問題です。
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