社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問35 ((択一式)労務管理その他の労働に関する一般常識 問5)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問35((択一式)労務管理その他の労働に関する一般常識 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 社会保険労務士法第2条第1項第1号の2にいう「提出に関する手続を代わつてする」は、法律行為の代理のことをいい、本来事業主が意思決定すべき事項にも及ぶため、代理業務、即ち申告、申請、不服申立等について事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することが含まれる。
  • 特定社会保険労務士は、男女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否もその業務に含まれる。
  • 社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
  • 社会保険労務士法人の社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。
  • 社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないが、自己のためにこれを行うことはできる。

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この過去問の解説 (3件)

01

社労士法からの出題です。
合格したら登録を考えられるわけですから、試験云々ではなく読み込んでおくべき法律です。

選択肢1. 社会保険労務士法第2条第1項第1号の2にいう「提出に関する手続を代わつてする」は、法律行為の代理のことをいい、本来事業主が意思決定すべき事項にも及ぶため、代理業務、即ち申告、申請、不服申立等について事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することが含まれる。

誤りの肢です。
事務代理との混同を狙った問題です。
提出代行事務については通達で以下の通り取り扱われています。
「出代行事務の性格は法律行為の代理とは異なるので、本来事業主等が意思決定すべき事項に及ばないものであること。」
(昭53.8.8庁文発第2084号)
事務代理との違いを正確に理解しておきましょう。
「事務代理と法第二条第一項第一号の二の提出代行との相違は、提出代行が申請書、届出書、報告書その他の書類(以下「申請書等」という。)の提出手続に関して行政機関等に事実上の説明補正等を行い得るにとどまるのに対して、事務代理は社会保険労務士が本人(当該社会保険労務士に対して代理権限を与えた者をいう。以下同じ。)に代わって申請等を行うものであるから、委任の範囲内で内容の変更等を行い得るのみならず、申請等について責任をもって処理できるよう当該申請等に係る行政機関等の調査又は処分に関する主張又は陳述を行い得るものであること。」
(昭61.10.1庁保発第40号)

選択肢2. 特定社会保険労務士は、男女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否もその業務に含まれる。

記載の通りであり正解です。
長いので一部略しますが、社会保険労務士法第2条1項1号の4にて
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会における同法第五条第一項のあつせんの手続並びに~雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律~の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること」
と規定されています。

選択肢3. 社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

誤りの肢です。
「何人も」できます。
社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限られません。
「何人も、社会保険労務士について、前二条に規定する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」
(社会保険労務士法第25条の3の2第2項)

選択肢4. 社会保険労務士法人の社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。

誤りの肢です。
社会保険労務士でなければいけません。
「社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならない。」
(社会保険労務士法第25条の8第1項)
尚、2項は社員になれない場合を定めています。

選択肢5. 社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないが、自己のためにこれを行うことはできる。

誤りの肢です。
自己のためでもいけません。
「社会保険労務士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の社会保険労務士法人の社員となつてはならない。」
(社会保険労務士法第25条の18第1項)
仮に他の社員の同意等があっても変わりません。

まとめ

本問はサービス問題といってもよいかと思います。
そもそも社労士法は難しい問題が出づらい印象があるので確実に一点確保したいところです。

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02

社会保険労務士法の目的条文(以下)をしっかりインプットのうえ、正誤について判断が問われます。

 

<社会保険労務士法第1条>

社会保険労務士法は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。

選択肢1. 社会保険労務士法第2条第1項第1号の2にいう「提出に関する手続を代わつてする」は、法律行為の代理のことをいい、本来事業主が意思決定すべき事項にも及ぶため、代理業務、即ち申告、申請、不服申立等について事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することが含まれる。

誤りです。

本肢はの社会保険労務士法第2条第1項第1号の2「提出代行事務」を指すものです。

「提出代行事務」とは、提出義務者本人が行うべき申請書等の提出手続に必要な一切の事務処理をを提出義務者本人に代わって社会保険労務士が行うことを意味し、必要に応じて、行政機関等に説明を行い、その質問に回答し、又は提出書類に必要な補正を行う等の行為までが含まれます。

申告、申請、不服申立等について、事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することはまでは含まれません。

選択肢2. 特定社会保険労務士は、男女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否もその業務に含まれる。

正しいです。
特定社会保険労務士に限り「紛争解決手続代理業務」を行うことができるとされています。

紛争解決手続代理業務には、あっせんの手続及び調整の手続、民間紛争解決手続について相談に応ずること、紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと、和解における合意を内容とする契約を締結することが含まれています。

選択肢3. 社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

誤りです。

何人も、社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができるとされています。
社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限るとするのは誤りです。

選択肢4. 社会保険労務士法人の社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。

誤りです。
社会保険労務士法人の社員は、社会保険労務士でなければならないとされています。

選択肢5. 社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないが、自己のためにこれを行うことはできる。

誤りです。
社会保険労務士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務行い、又は他の社会保険労務士法人の社員となってはならないとされています。

まとめ

社会保険一般常識で社会保険労務士法令に関する問題はまず出題されないことはないので、しっかり学習することが重要です。

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03

社労士法からの出題です。

基本的なことが多く、出題機会も多いです。

過去問の蓄積も多いため、過去問はひととおり解いておくことをお勧めします。

選択肢1. 社会保険労務士法第2条第1項第1号の2にいう「提出に関する手続を代わつてする」は、法律行為の代理のことをいい、本来事業主が意思決定すべき事項にも及ぶため、代理業務、即ち申告、申請、不服申立等について事業主その他の本人から委任を受けて代理人として事務を処理することが含まれる。

誤った内容の選択肢です。

 

「提出に関する手続を代わつてする」とは、本来は事業主や労働者等の提出義務者が自ら行う必要がある申請書等の提出に関する義務処理を、当該義務者に代わって行うこと、すなわち単なる使者として行うことを意味します。

 

したがって、法律行為の代理のことをいうわけではないため、本来事業主が意思決定すべき事項には及びません。

これを及ぶとしている点で、選択肢は誤りです。

 

なお、使者と代理の違いは以下のとおりです。

 

・代理:本人に代わって自ら意思決定(判断)をし、契約などの法律行為を行う者

・使者:本人が既にした意思決定を相手方に伝達する者で、意思表示を行わない者(意思表示の主体はあくまで「本人」)

選択肢2. 特定社会保険労務士は、男女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否もその業務に含まれる。

正しい内容の選択肢です。

 

「特定社会保険労務士」とは、通常の社会保険労務士として行うことができる業務に加え、労働者と事業主間のトラブル(個別労働関係紛争)を裁判外で解決する「紛争解決手続代理業務」を行うことが認められた社労士を言います。

 

したがって、選択肢のとおり、特定社会保険労務士の業務には、女雇用機会均等法に定める調停手続において紛争当事者の代理人としての業務を行うことができ、調停委員や相手方の当事者への説明、主張、陳述、答弁等のほか、調停案の受諾、拒否も含まれます。

選択肢3. 社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

誤った内容の選択肢です。

 

社会保険保険労務士の職務の公正を担保するため、法25条の3の2第2項は、社会保険労務士について、社会保険労務士法第25条の2(不正行為の指示等を行った場合の懲戒)や同法第25条の3(一般の懲戒)に規定する行為又は事実があると認めたときは、「何人も」厚生労働大臣に対し、当該社会保険労務士の氏名及びその行為又は事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる旨を定めています。

 

したがって、選択肢は「社会保険労務士会の会員、社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会に限り、」としている点でや誤りです。

選択肢4. 社会保険労務士法人の社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。

誤った内容の選択肢です。

 

法25条の8は、社会保険労務士法人の社員は「社会保険労務士」でなければならないと定めています。

ここでいう「社員」は一般の会社にいう「社員」(=従業員)ではなく、法人の役員・出資者であり業務を執行する者ですので、社労士であることが求められるのです。

 

したがって、選択肢は「社員には、社会保険労務士でない者もなることができる。」としている点で誤りです。

選択肢5. 社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにその属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないが、自己のためにこれを行うことはできる。

誤った内容の選択肢です。

 

社会保険労務士法25条の18第1項は、「社員の競業の禁止」を定めています。

具体的には、社会保険労務士法人の社員は、第三者のためにのみならず、自己のためにも、その属する社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはならないと定めています。

 

これは、社会保険労務士法人の「社員」になった社労士は、その法人と競合するような仕事を個人で受任してはいけないという意味です。「個人事業として社労士業務を行って利益を得る」ことを禁止し、法人の顧客を社員が個人で奪ったり、法人を通さず報酬を受け取ったりすることを防ぐための規定です。

 

なお、同条第2項により、当該法人の社員が自己又は第三者のために当該法人と競業する業務をおこなったときは、当該業務によって当該社員又は第三者が得た利益額が、当該法人に生じた損害の額と推定されます。

 

したがって、選択肢は、「自己のためにこれを行うことはできる。」としている点で誤りです。

なおこのひっかけはとてもよく出題されるので、しっかり押さえて知識を定着させてしまいましょう。

まとめ

社労士法に関する問題は比較的シンプルで覚えやすく、学習もしやすいです。

それでいて頻出分野ですので、しっかり押さえて得点源にすることをお勧めします。

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