社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問51 ((択一式)厚生年金保険法 問1)
問題文
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問51((択一式)厚生年金保険法 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
- 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わる。
- 適用事業所である甲に使用されていた被保険者乙は、令和7年4月1日に甲に使用されなくなったが、同日、別の適用事業所である丙に使用されるに至り、被保険者資格の得喪が生じた。この場合、乙の甲での被保険者資格は令和7年4月1日に喪失し、乙は同日に丙での被保険者資格を取得する。
- 厚生労働大臣は、被保険者の資格に関する決定に関し、必要があると認めるときは、適用事業所の事業主又は被保険者に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じることができる。
- 老齢厚生年金の受給権者が、その受給権を取得した当時、加給年金額の加算の対象となる配偶者及び1人の子がいたが、受給権を取得した2年後に第2子が誕生した。この場合、当該第2子(受給権者によって生計を維持しているものとする。)については加給年金額の加算の対象とはならない。
- 障害等級2級に該当する障害厚生年金の受給権者が、更に障害厚生年金の受給権を取得した。この場合、新たに取得した障害厚生年金が厚生年金保険法第54条第1項(障害補償による支給停止)の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金が支給される。
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この過去問の解説 (2件)
01
厚生年金保険法から様々な問題が出題されています。
広範な知識が必要になっているので、わからない箇所があった場合は参考書や問題集等で復習しておくことが大切です。
正しい。
設問の通りです。
また、支給を停止すべき事由が生じた年金は、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は支給しません。
正しい。
通常は資格喪失の条件(死亡した、退職した等)に該当した翌日にその資格を喪失します。
また、資格取得は条件に該当したその日に資格を取得します。
設問の場合は、これが同日に起こっているので、同日得喪という条件に当てはまります。
被保険者乙は令和7年4月1日に適用事業所甲の被保険者資格を喪失し、適用事業所丙の被保険者資格を取得します。
間違い。
設問の場合、厚生労働大臣は、被保険者資格、標準報酬、保険料または保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文章その他の物件を提出するべきことを命じることができます。
被保険者に対して命じることはできません。
正しい。
老齢厚生年金の受給権者がその受給権を取得した当時胎児であった子が誕生したときは、その子供は、受給権者が受給権を取得した当時受給権者との生計を維持していた子供とみなされ、加給年金額の加算の対象となる。
設問の子供は、受給権を取得したときから2年経過しており、その当時胎児ではなかったため加給年金額の対象とはなりません。
正しい。
厚生年金保険法第54条第1項(障害補償による支給停止)の規定によりその支給が停止すべきものであるときは、同法48条2項(障害厚生年金の受給権者に対して新たに障害厚生年金が支給される事になったときは、前後の障害を併合した障害の程度の障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金は消滅する)の規定にかかわらず、その支給を停止すべき期間の間は、従前の障害厚生年金が支給されます。
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02
誤っている記述は、「厚生労働大臣は…事業主又は被保険者に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じることができる。」という内容の選択肢です。
厚生年金保険法第100条では、文書などの提出を命じる相手は「事業主」に限られており、「被保険者」までは含まれていないためです。
以下、各選択肢ごとに理由を説明します。
これは正しい内容です。
厚生年金保険法の「給付の通則」では、
年金は、支給事由が生じた日の属する月の翌月から始まり、権利が消滅した日の属する月で終わる
と決められています。
例えば、4月10日に老齢厚生年金の支給要件を満たした場合、5月分から支給開始、その権利が9月に消滅したら、9月分まで支給というイメージです。
これは正しい内容です。
厚生年金保険の被保険者資格のルールは、おおまかに次のようになっています。
資格取得日:適用事業所に使用されるに至った日(働き始めた日)
資格喪失日の原則:適用事業所に使用されなくなった日の翌日
ただし、その日にそのまま他の適用事業所で使用されるなど、再び被保険者となる場合は、
喪失日は「翌日」ではなく、その日(同日)とされます。
今回のケースでは、
・4月1日に甲での勤務が終了
・同じ4月1日に別の適用事業所である丙に就職
となっています。
この場合は例外ルールがはたらき、
・甲での被保険者資格:4月1日喪失
・丙での被保険者資格:4月1日取得
となるので、記述どおりで問題ありません。
これが誤っている選択肢です。
厚生年金保険法第100条第1項には、次のような趣旨の規定があります。
厚生労働大臣は、被保険者の資格・標準報酬・保険料・保険給付に関する決定に必要なとき、
適用事業所や適用事業所と認められる事業所の「事業主」などに対し、文書その他の物件の提出を命じることができる。
つまり、提出を命じる相手は「事業主(適用事業所等の事業主)」であって、「被保険者」ではありません。
選択肢では
「事業主又は被保険者に対して…命じることができる」
と、対象に「被保険者」を含めているため、この部分が法律と合っていません。
これは正しい内容です。
老齢厚生年金の加給年金額の対象となる子は、
・受給権を取得した当時、受給権者によって生計を維持されていた子
・あるいは、その時点で胎児であった子が後に出生した場合(この場合も「当時生計維持されていた子」とみなされる)
が基本です。
今回の第2子は、
・受給権取得から2年後に出生
・つまり、受給権取得時点では胎児でもなかった
ため、加給年金額の対象となる子には含まれません。
したがって、「加算の対象とはならない」という記述は正しいです。
これは正しい内容です。
障害厚生年金については、複数の障害がある場合の扱いとして次のような仕組みがあります。
1.前後の障害を併合して、新しい障害厚生年金を支給する(併合認定)
新しい障害厚生年金の受給権ができると、従前の障害厚生年金の受給権は消滅するのが原則です。
2.しかし、その新しい障害厚生年金が、労災保険の障害補償との関係(第54条第1項)で支給停止となる場合があります。
3.このままだと、「前の年金は消滅」「新しい年金は支給停止」で、何も受け取れない期間が生じてしまいます。
それを防ぐために、法律上、
新しい年金が支給停止となる期間については、従前の障害厚生年金を支給する
という特例が用意されています。
選択肢の内容は、この特例の考え方をそのまま述べたものなので、適切です。
この問題では、厚生年金保険法の中でも、
◯年金の支給開始・終了の月のルール
◯被保険者資格の取得日・喪失日の例外的な扱い
◯加給年金の対象になる子の範囲(受給権取得時点に存在しているかどうか)
◯障害厚生年金が複数あるときの併合や支給停止時の特例
◯厚生労働大臣の調査権限(誰に書類提出を命じられるか)
といったポイントが問われています。
今回誤っているのは、「厚生労働大臣が『被保険者』にも文書提出を命じられる」としている選択肢でした。
実際の条文では、提出命令の相手は「適用事業所等の事業主」に限られることを、あらためて押さえておくとよいです。
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