社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問52 ((択一式)厚生年金保険法 問2)
問題文
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問52((択一式)厚生年金保険法 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
- 甲と乙は離婚したが、合意分割の請求前に甲が死亡した。その後、乙は、甲の死亡した日から起算して15日目に、所定の事項が記載された公正証書を添えて合意分割の請求を行った。この場合、甲が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされる。
- 合意分割の按分割合について当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときには、当事者の申立てにより、家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めることができるが、この申立ては当事者の一方のみによってすることができる。
- 当事者又はその一方は、原則として、実施機関に対し、標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができるが、標準報酬改定請求後にはこの請求を行うことができない。
- 対象期間標準報酬総額の算定において、対象期間の全部又は一部が平成15年4月1日前であるときは、同日前の対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額並びに同日以後の対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額(厚生年金保険法第26条第1項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあっては、当該従前標準報酬月額)及び標準賞与額に、それぞれ当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額が当該対象期間標準報酬総額とされる。
- 老齢厚生年金の受給権者について、合意分割の標準報酬の改定又は決定が行われたときは、当該標準報酬の改定又は決定が行われた日の属する月の翌月から、年金の額が改定される。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
誤っているのは、「老齢厚生年金の受給権者について、合意分割の標準報酬の改定又は決定が行われたときは〜翌月から年金の額が改定される」とする記述です。
理由は、年金額を改定する基準となる日は、「標準報酬改定請求(=合意分割の請求)をした日」であり、「標準報酬の改定や決定が行われた日」ではないからです。
その他の選択肢は、合意分割に関する厚生年金保険法や通達の内容と合っています。
この内容は合意分割の死亡時の特例を説明したものです。
・当事者の一方(ここでは甲)が、請求をする前に死亡してしまった場合でも、
・当事者双方の合意内容が公正証書などで客観的に分かるときには、
・死亡日から1か月以内であれば、残った相手方(乙)が標準報酬改定請求を行うことができます。
・この場合、その請求は「死亡日の前日にあった」とみなすと法律上決められています。
問題文の記述は、このルールをそのまま表しているので、内容は合っています。
合意分割では、まず夫婦の話し合いで按分割合(分け方の割合)を決めます。
しかし、
・話し合いがまとまらないとき
・そもそも話し合いができない事情があるとき
には、家庭裁判所に申し立てて、裁判所に按分割合を決めてもらうことができます。
そして、この申立ては、当事者の一方だけで行うことができます。
問題文の説明は、この仕組みに対応しており、内容は合っています。
合意分割の請求をする前には、
・対象期間標準報酬総額
・按分割合の範囲
など、請求に必要な情報を実施機関(日本年金機構など)に請求して教えてもらう制度があります。
ただし、法律と通達では、
・合意分割の標準報酬改定請求をした後
・または離婚等から2年経過後
には、この情報提供請求はできないとされています。
問題文の「標準報酬改定請求後にはこの請求を行うことができない」という部分は、このルールと一致しているので妥当です。
対象期間標準報酬総額は、合意分割の基礎となる重要な数字です。
・平成15年4月1日より前の期間は、総報酬制導入前なので、標準賞与額がありません。
・そのため、この前の期間については、各月の標準報酬月額の総額に1.3を掛けた額を用います。
・平成15年4月1日以後の期間については、各月の標準報酬月額(必要に応じて従前標準報酬月額)と標準賞与額を合計します。
・そして、それぞれを対象期間の末日における再評価率で再評価し、その合計を対象期間標準報酬総額とします。
問題文の式は、この考え方を丁寧に文章にしたもので、内容は法律の定めと一致しています。
正しいルールは次のとおりです。
・老齢厚生年金の受給権者について、合意分割による標準報酬の改定又は決定が行われたときは、
・「標準報酬改定請求(=合意分割の請求)があった日の属する月の翌月」から、年金額が改定されます。
つまり、基準になるのは、
→「改定・決定が実務上処理された日」ではなく、「請求をした日」
です。
問題文では、基準日を「標準報酬の改定又は決定が行われた日」としており、ここが法律の定めと違うため、この記述は誤りになります。
今回の問題は、合意分割に関する細かい手続きや時期の扱いを問う内容でした。
押さえておきたいポイントは次の通りです。
・一方が死亡しても、死亡日から1か月以内で、公正証書等により合意内容が明らかなら、他方が請求でき、その請求は死亡日の前日に行われたものとみなされる。
・按分割合がまとまらないときは、当事者の一方だけで家庭裁判所に申立て可能。
・合意分割の情報提供請求は、標準報酬改定請求の前までしかできない。
・対象期間標準報酬総額は、平成15年4月1日前分は1.3倍してから再評価率を掛けるという特殊な計算になる。
・老齢厚生年金の受給権者の年金額の改定は、「標準報酬改定請求をした月の翌月」からであり、「改定や決定が行われた日」ではない。
合意分割の問題では、「どの日を基準に翌月とするか」という表現の違いで正誤が分かれることが多いので、条文の表現(「請求のあった日」なのか、「改定が行われた日」なのか)を意識して読む習慣をつけておくと安心です。
参考になった数4
この解説の修正を提案する
02
合意分割とは、平成19年4月1日以後に離婚をした場合に、結婚していた間の厚生年金保険の保険料の算定の基礎となった標準報酬を当事者間で分割することができるというものです。
正しい。
甲の死亡日から1か月以内に合意分割の請求を行っているので、甲が死亡した日の前日に当該請求があったものとみなされます。
正しい。
設問の通りです。
正しい。
また離婚等をしたときから2年を経過したときその他厚生労働省令で定める場合にも、請求することはできません。
正しい。
設問の通りです。
間違い。
当該標準報酬の改定又は決定が行われた日の属する月の翌月からというのが間違いです。
正しくは、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額が改定されます。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
03
合意分割の問題です。
年金の分割は少しややこしいので丁寧に学習していきましょう。
記載の通りです。
合意分割の請求前に死亡した場合のお話です。
この場合、一方が死亡した日から起算して1月以内に厚生年金保険法第78条の2第3項に規定する方法により請求することで方が死亡した日の前日に標準報酬改定請求があったものとみなされます。(厚生年金保険法施行令第3条の12の7)
尚、厚生年金保険法第78条の2第3項で規定する方法は所定の事項が記載された公正証書の謄本添付その他厚生労働省令で定める方法です。
厚生労働省令で定める方法は厚生年金保険法施行規則第78条の4に規定されていますが、かなり長いので割愛します。
記載の通りです。
協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めることができます。(厚生年金保険法第78条の2第2項)
どこかで区切りをつけなければいけませんから、裁判所に決めてもらうことになります。
記載の通りです。
前段の通り実施機関に対し標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができますし、後段の通り標準報酬改定請求後にはすることができません。(厚生年金保険法第78条の4第1項)
年金分割はこのように細かい論点が多いのでササっと結論だけ覚えてしまいましょう。
ちなみに本肢の「標準報酬改定請求後」以外にも第78条の2第1項の場合も除かれています。
どんな場合かというと、「当該離婚等をしたときから2年を経過したとき」「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた当事者について、当該当事者の一方の被扶養配偶者である国民年金法第7条第1項第3号に規定する第3号被保険者であつた当該当事者の他方が当該第3号被保険者としての国民年金の被保険者の資格を喪失し、当該事情が解消したと認められるとき」です。(厚生年金保険法施行規則第78条)
記載の通りです。
まず対象期間標準報酬総額とはなんぞやということですが、ざっくり年金分割の対象となる期間の標準報酬の総額です。
平成15年4月1日より前の期間は賞与分が加味されていないので、その分を追加するために1.3倍します。
そして平成15年4月1日以後の対象期間については標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じます。(厚生年金保険法施行令第3条の12の5)
誤りの肢です。
当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から改定されます。
(厚生年金保険法第78条の10)
合意分割は覚えることが細かいですが、あまり深く問われないような気がしています。
本問以外で重要なポイントとしては、どっちが第1号改定者(わける方)でどっちが第2号改定者(もらう方)なのかということと、按分割合の上限が2分の1であることくらいかと思います。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問51)へ
第57回(令和7年度) 問題一覧
次の問題(問53)へ