社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問55 ((択一式)厚生年金保険法 問5)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問55((択一式)厚生年金保険法 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、厚生年金保険の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止される。これにより支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率の変更にあわせて、令和7年度より、最大で標準報酬月額の6%となった。
  • 厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者で、高齢任意加入被保険者となっている者は、保険料の全額を負担する義務を負う。ただし、事業主の同意があるときは、被保険者と事業主の半額ずつの負担になる。
  • 2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所とすることができるが、その際は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
  • 障害基礎年金の支給を受けている者に子の加算が行われているとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給停止されているときを除く。)に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合は、当該老齢厚生年金については、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。
  • 国家公務員であった者が、令和7年7月21日に退職し、その翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した。その後、同年7月28日に民間企業に就職し、厚生年金保険の被保険者資格を取得した。この場合、同年7月は、第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正しい選択肢は、「障害基礎年金の子の加算と老齢厚生年金の加給年金額が重なる場合、老齢厚生年金側の加給年金額のうち子についての部分が支給停止となる」という内容の記述です。
子に対する加算を、障害基礎年金と老齢厚生年金の両方から二重に受け取ることはできないため、老齢厚生年金側が止まる仕組みになっています。

選択肢1. 65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、厚生年金保険の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止される。これにより支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率の変更にあわせて、令和7年度より、最大で標準報酬月額の6%となった。

「65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の権利があり、厚生年金の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による支給停止に加え、年金の一部が支給停止される。その支給停止額は、令和7年度から最大で標準報酬月額の6%になった」という内容です。

 

前半部分、「在職老齢年金の支給停止に加えて、高年齢雇用継続給付との調整で年金の一部が止まる」という仕組み自体は正しいです。

しかし、令和7年4月以降の改正後は、支給停止される年金額の上限は標準報酬月額の4%が原則です。

6%になるのは、経過措置の対象となる一部の人(令和7年3月31日以前に要件を満たしていた人)であり、「令和7年度より6%となった」と一般化しているこの記述は事実と合いません。

 

したがって、この選択肢は誤りです。

選択肢2. 厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者で、高齢任意加入被保険者となっている者は、保険料の全額を負担する義務を負う。ただし、事業主の同意があるときは、被保険者と事業主の半額ずつの負担になる。

「適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の高齢任意加入被保険者は、原則保険料を全額負担するが、事業主の同意があれば折半負担になる」という内容です。

 

高齢任意加入被保険者には

・適用事業所に使用される場合

・適用事業所以外の事業所に使用される場合
の2パターンがあります。

 

適用事業所以外で働く70歳以上の高齢任意加入被保険者については、原則として被保険者と事業主が折半(2分の1ずつ)で保険料を負担します。

「まず全額本人負担で、同意があれば折半になる」というのは、適用事業所に使用される場合の一部の扱いと混合している説明です。

 

このため、この選択肢は誤りです。

選択肢3. 2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所とすることができるが、その際は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

「同一所有者の2隻以上の船舶を1つの適用事業所とするには、厚生労働大臣の承認が必要」という内容です。

 

厚生年金保険法では、「2以上の船舶の船舶所有者が同一であるときは、それらの船舶を1の適用事業所とみなす」とされています。

これは法律上当然に1つの適用事業所とされるものであり、厚生労働大臣の承認は要りません

 

したがって、この選択肢も誤りです。

選択肢4. 障害基礎年金の支給を受けている者に子の加算が行われているとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給停止されているときを除く。)に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合は、当該老齢厚生年金については、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。

障害基礎年金に子の加算が付いている人について、その同じ子を対象とする加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることになった場合、老齢厚生年金のうち、その子に対する加給年金額に相当する部分が支給停止される(ただし、障害基礎年金の子の加算がもともと全額支給停止されている場合は除く)。」という内容です。

 

同じ子に対する加算を、障害基礎年金(子の加算)と老齢厚生年金(加給年金額)で二重に受け取ることはできません。

この場合は、障害基礎年金の子の加算が優先され、老齢厚生年金側の加給年金額(子に対応する部分)が支給停止されます。

選択肢の文章は、この仕組みをそのまま説明しているので内容は正しいです。

 

このため、この選択肢が正しい記述です。

選択肢5. 国家公務員であった者が、令和7年7月21日に退職し、その翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した。その後、同年7月28日に民間企業に就職し、厚生年金保険の被保険者資格を取得した。この場合、同年7月は、第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる。

「国家公務員として厚生年金保険の被保険者であった者が、7月21日に退職し、その翌日に資格喪失、その後7月28日に民間企業への就職により再び被保険者になった場合、その年の7月は第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる」という内容です。

 

ここでいう第2号厚生年金被保険者は、厚生年金保険法上の「被保険者の種別」の話です(国家公務員など)。

・厚生年金の被保険者期間の計算は、原則
「資格を取得した月から、資格を喪失した月の前月まで」
を数えます。

・国家公務員としての第2号厚生年金被保険者の資格は、7月22日に喪失したとみなされるので、
→ 第2号厚生年金被保険者としての被保険者期間は、前月の6月までになります。

7月28日以降は、「民間企業で厚生年金に加入した期間」であり、これは第1号厚生年金被保険者としての期間になります。

したがって、7月全体を「第2号厚生年金被保険者であった月」とみなすのは誤りです。

 

この選択肢も誤りです。

まとめ

この問題で正しいのは、「障害基礎年金の子の加算と老齢厚生年金の加給年金額が重なるとき、老齢厚生年金側の子についての加給年金額が支給停止される」という内容の選択肢です。

 

年金制度では、同じ理由・同じ対象に対する給付が二重にならないように、どちらか一方を支給停止するルールがよく登場します。

特に今回のように

・高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金

・障害基礎年金の子の加算と老齢厚生年金の加給年金額
などが重なる場面では、「どちらが優先で、どちらが止まるのか」を整理して覚えると、類題にも対応しやすくなります。

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02

厚生年金保険の基本的な問題が出題されているので、間違えないように正解を選んでください。

わからない問題があっても、焦らずにわかるところから問題を解いて選択肢を減らしていくと余裕が持てると思います。

選択肢1. 65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、厚生年金保険の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止される。これにより支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率の変更にあわせて、令和7年度より、最大で標準報酬月額の6%となった。

間違い。
令和7年4月1日以降から、支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率が変更され、最大で標準報酬月額の4%となりました。
 

選択肢2. 厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者で、高齢任意加入被保険者となっている者は、保険料の全額を負担する義務を負う。ただし、事業主の同意があるときは、被保険者と事業主の半額ずつの負担になる。

間違い。
厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者の保険料負担は、事業主と半額ずつとなります。
ちなみに、設問の適用事業所以外という箇所を適用事業所に使用される70歳以上の者にすると正しい記述となります。
 

選択肢3. 2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所とすることができるが、その際は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

間違い
2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所されます。

厚生労働大臣の承認は受ける必要はなく、法律上当然に1つの適用事業所とされます。

 

選択肢4. 障害基礎年金の支給を受けている者に子の加算が行われているとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給停止されているときを除く。)に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合は、当該老齢厚生年金については、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。

正しい。
設問の通りです。

障害基礎年金の子の加算と老齢厚生年金の加給年金月額の子の加算が重複してしまっているので、老齢厚生年金の子について加算する額に相当する部分の支給が停止されます。
 

選択肢5. 国家公務員であった者が、令和7年7月21日に退職し、その翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した。その後、同年7月28日に民間企業に就職し、厚生年金保険の被保険者資格を取得した。この場合、同年7月は、第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる。

間違い。
同じ月に被保険者の種別の変更があった場合においては、変更後の被保険者の種別となります。
設問の場合は、国家公務員で第2号厚生年金被保険者であったが、令和7年7月21日に退職し、その翌日に被保険者資格を喪失しました。

同年7月28日に民間企業に就職し、第1号厚生年金被保険者の被保険者資格を取得したので、第1号厚生年金被保険者であった月とみなされます。
 

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03

ちょうどよい難易度の問題かなと思います。
年金や保険は二重取りの対策が完璧だということを頭に入れておきましょう。

選択肢1. 65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、厚生年金保険の被保険者である月に高年齢雇用継続給付を受給できるときは、在職による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止される。これにより支給停止される年金額は、高年齢雇用継続給付の支給率の変更にあわせて、令和7年度より、最大で標準報酬月額の6%となった。

誤りの肢です。
支給停止される限度は4%です。(厚生年金保険法附則11条の6第1項)
以前は6%だったので、ひっかけに使われています。
これは改正ほやほやなのですが、このように改正ポイントは狙われやすく、かつ数字はひっかけしやすいのでよく出題されます。
直前期の学習時に着目しておきたいところです。

選択肢2. 厚生年金保険の適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者で、高齢任意加入被保険者となっている者は、保険料の全額を負担する義務を負う。ただし、事業主の同意があるときは、被保険者と事業主の半額ずつの負担になる。

誤りの肢です。
適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者については厚生年金保険法附則第4条の5に定めがあります。
「適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者(中略)は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者となることができる。この場合において、第10条第2項、(中略)の規定を準用する。」


準用されている厚生年金保険法第10条第2項では、
「前項の認可(厚生労働大臣の認可)を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。」
と規定しており、そもそも事業主の同意がなければ被保険者とならず、この同意には保険料の半額を負担することも含みます。


よって同意の有無に関わらず半額ずつの負担となります。
尚、適用事業所に使用される高齢任意被保険者については被保険者になるにあたり事業主の同意は要せず、保険料の全額を負担するのが原則です。
その場合に事業主の同意があれば半額ずつの負担とすることができます。(厚生年金保険法附則第4条の3第7項)
適用事業所なのかそうでないのかで結論が変わります。
混同しないように注意しましょう。

選択肢3. 2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該2以上の船舶を1つの適用事業所とすることができるが、その際は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

誤りの肢です。
厚生労働大臣の承認は必要ありません。
厚生年金保険法第8条の3では
「二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の適用事業所とする。この場合において、当該二以上の船舶は、第六条の適用事業所でないものとみなす。」
とあり、承認等何らの手続きを要せず、法律上当然に1つの適用事業所となることになります。

選択肢4. 障害基礎年金の支給を受けている者に子の加算が行われているとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給停止されているときを除く。)に、当該子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金が併給されることとなった場合は、当該老齢厚生年金については、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給が停止される。

記載の通りです。
老齢厚生年金には配偶者と子供の加算の定めがあります。(厚生年金保険法第44条第1項)
また、障害基礎年金にも子供の加算の定めがあります。(国民年金法第33条の2第1項)
この子の加算が両方適用となる際、二重取りは当然できませんので、どちらかを停止する必要が出てきます。
厚生年金保険法第44条第1項但し書きにおいて、厚生年金側が支給停止になることになっています。
よって、本肢の記述は正しいです。
尚、併給可能な年金についても押さえておきましょう。

選択肢5. 国家公務員であった者が、令和7年7月21日に退職し、その翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した。その後、同年7月28日に民間企業に就職し、厚生年金保険の被保険者資格を取得した。この場合、同年7月は、第2号厚生年金被保険者であった月とみなされる。

誤りの肢です。
まず第2号被保険者が何かということを確認しておきましょう。


第1号→第2~4号以外の被保険者
第2号→国家公務員
第3号→地方公務員
第4号→私学の先生たち


これを厚生年金の種別といいます。
そのうえで本肢を紐解くと、7月の頭は第2号被保険者で、21日に退職、22日に第1号被保険者の資格を取得しました。
このケースの7月が第1号なのか第2号なのか問われています。


この点、厚生年金保険法では
「被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。」(厚生年金保険法第19条第1項)
「前3項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。」(同条第4項)
とされています。


つまり、本ケースに当てはめると、7月中に資格を喪失しているので第2号被保険者であった期間はその前月の6月までとなり、7月は第1号被保険者となります。
基本中の基本問題です。

まとめ

船舶のくだりなどは意外とノーマークかもしれません。

正解肢が割と簡単なので本問では間違えなかったかもしれませんが、本問の船舶の選択肢は誤りながら妙に説得力があります。
言うほど覚えることも多くなく、特徴的なことが多いので直前期にでもまとめて覚えてしまいましょう。

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