社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問57 ((択一式)厚生年金保険法 問7)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問57((択一式)厚生年金保険法 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部又は全額が支給停止となる。
  • 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)は、労使合意により、任意特定適用事業所の申出をすることができる。この労使合意を行う上での同意の対象となる者には、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者は含まれない。
  • 障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。
  • 厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した場合は、被保険者資格を喪失する。その後、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続したとしても、被保険者ではないため、厚生年金保険料を納付する必要はない。ただし、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となることがある。
  • 厚生年金保険法第42条に規定する老齢厚生年金を繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されない。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

厚生年金保険法の広範囲から問題が出題されています。

選択肢1. 地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部又は全額が支給停止となる。

正しい。
地方公共団体の議会の議員は厚生年金保険の被保険者ではないが、その者が老齢厚生年金の受給権者であれば、議員の報酬等を受けている場合は、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となります。
 

選択肢2. 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)は、労使合意により、任意特定適用事業所の申出をすることができる。この労使合意を行う上での同意の対象となる者には、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者は含まれない。

間違い。

労使合意を行う上での同意の対象となる者に、70歳以上の使用される者は含まれます。
労使合意の対象は以下の通りです。

・厚生年金保険の被保険者

・70歳以上の使用される者

・短時間労働者であって1週間の所定労働時間が20時間以上で報酬が88,000円以上の学生ではない者
 

選択肢3. 障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。

正しい。
設問の通りです。

選択肢4. 厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した場合は、被保険者資格を喪失する。その後、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続したとしても、被保険者ではないため、厚生年金保険料を納付する必要はない。ただし、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となることがある。

正しい。
設問の通りです。

厚生年金保険の被保険者が70歳に達し被保険者資格を喪失しているが、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続しているので、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となります。

選択肢5. 厚生年金保険法第42条に規定する老齢厚生年金を繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されない。

正しい。
設問の通りです。

65歳に達していない場合は、在職定時改定は行われません。

なので、老齢厚生年金を繰り上げ受給している者で65歳に達している者は、在職定時改定が適用されます。

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02

ちょうどよい~ちょっと難しい難易度の問題かなと思います。
誤りの肢(正解肢)は比較的簡単です。

選択肢1. 地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部又は全額が支給停止となる。

記載の通りです。
すごく長いので条文は割愛しますが、在職老齢年金のお話です。


在職老齢年金は
・総報酬月額相当額(標準報酬+その月前1年間の標準賞与額の合計÷12)
・基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額)
の合計が支給停止調整額を超える場合に超えた分の2分の1(支給停止基準額)が支給停止になるものです。
支給停止基準額が老齢厚生年金の額を超える場合は当然全額が支給停止になります。


そして、在職老齢年金の対象になるのは
・被保険者
・国会議員
・70歳以上の使用されるもの
そして、本肢で問われている地方公共団体の議会の議員です。
(厚生年金保険法第46条第1項)


よって、本肢の記述は正しいです。
尚、令和8年の支給停止調整額は令和7年の51万円から65万円と引き上げられました。

選択肢2. 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)は、労使合意により、任意特定適用事業所の申出をすることができる。この労使合意を行う上での同意の対象となる者には、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者は含まれない。

誤りの肢です。
任意特定適用事業所はご存知の通り、厚生年金保険の被保険者数が特定適用事業所の基準に満たない企業等であるものの、被保険者の同意に基づく事業主の申し出により、短時間労働者の適用拡大の対象事業になった事業所です。


そして同意対象者は
・厚生年金保険の被保険者
・70歳以上被用者
・短時間労働者
ですので、70歳以上被用者が含まれることになります。(令4.9.28事務連絡問16)


尚、厚生年金保険法第27条に規定される70歳以上の使用される者というのは適用事業所に使用される者であって、かつ適用除外に該当しない者のことです。(厚生年金保険法施行規則第10条の4)

選択肢3. 障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。

記載の通りです。


「障害厚生年金の額は、第43条第1項の規定の例により計算した額(老齢厚生年金の額)とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300とする。」(厚生年金保険法第50条第1項)


老齢はいつ起きるか決まっていますが、障害はいつ起こるかわかりません。
早期に受給者になってしまった場合に、規定の方法で計算すると非常に少額になりかねないので、300月の保証があると思えばいいでしょう。
尚、被保険者期間にかかわらず障害年金では生年月日に応じた読み替えは行われません。

選択肢4. 厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した場合は、被保険者資格を喪失する。その後、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続したとしても、被保険者ではないため、厚生年金保険料を納付する必要はない。ただし、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となることがある。

記載の通りです。
厚生年金の被保険者資格喪失の時期は厚生年金保険法第14条に規定されています。
そのうち、第5号に70歳に達したときが規定されています。
その後、勤務を継続しても被保険者でないのですから、当然保険料を納付する必要はありません。
そして、一定の要件を満たす場合には在職老齢年金の規定により年金の一部又は全部が支給停止となることもあります。(厚生年金保険法第46条第1項)

選択肢5. 厚生年金保険法第42条に規定する老齢厚生年金を繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されない。

記載の通りです。
厚生年金保険法第43条第2項の規定により、受給権者が毎年9月1日(基準日)において被保険者である場合、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎とし、基準日の属する月の翌月から年金の額を改定します。(在職定時改定)


そして厚生年金保険法附則第15条の2において、
「第43条第2項及び第3項の規定の適用については、当分の間、同条第2項中受給権者」とあるのは「受給権者(附則第7条の3第3項又は第13条の4第3項(繰上げ支給)の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては、65歳に達しているものに限る。)」~(中略)とする。」
とあり、繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されないことになります。

まとめ

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大についてはややこしいですがまだまだホットな話題かと思います。

重点的に勉強しておいても良いかもしれません。

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03

誤っているのは、任意特定適用事業所の労使合意において、70歳以上の使用される者は同意の対象に含まれないとする記述です。

任意特定適用事業所の申出について同意する人には、厚生年金保険の被保険者だけでなく、70歳以上被用者や一定の短時間労働者も含まれます。

「含まれない」という部分が反対になっています。

選択肢1. 地方公共団体の議会の議員が老齢厚生年金の受給権者であるときは、当該議員が厚生年金保険の被保険者ではないとしても、議員報酬の月額及び期末手当の額と老齢厚生年金の額に応じて、老齢厚生年金の一部又は全額が支給停止となる。

地方議会の議員は、議員であることだけでは厚生年金保険の被保険者になりません。

しかし、老齢厚生年金を受けている場合は、議員報酬や期末手当と年金額との合計によって、年金の一部または全部が止められることがあります。

議員についても、特別に在職老齢年金と同じような調整が行われるためです。

日本年金機構「老齢厚生年金を受けている議員の在職老齢年金」

選択肢2. 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)は、労使合意により、任意特定適用事業所の申出をすることができる。この労使合意を行う上での同意の対象となる者には、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者は含まれない。

この記述には誤りがあります。

 

任意特定適用事業所の申出について同意する人は、次の人です。

・厚生年金保険の被保険者
・70歳以上被用者
・加入要件を満たす短時間労働者

 

したがって、70歳以上の使用される者について、同意の対象に含まれないのではなく、含まれます。

日本年金機構「任意特定適用事業所申し出・取消申し出の手続き」

選択肢3. 障害等級2級の障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の算定式により計算した額となる。ただし、年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する。また、生年月日に応じた給付乗率の引上げは行われない。

障害等級2級の障害厚生年金の基本となる金額は、働いていたときの給料や加入期間を使う報酬比例の計算方法によって求めます。

加入期間が300月より短い場合でも、300月加入していたものとして計算します。

障害が早い時期に発生したため加入期間が短い人について、年金額が極端に少なくならないようにするためです。

また、老齢厚生年金にある生年月日による給付乗率の引上げは、障害厚生年金には行われません。

なお、一定の配偶者がいる場合は、加給年金額が別に加わることがあります。

選択肢4. 厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した場合は、被保険者資格を喪失する。その後、同一の事業所で同一の労働条件で勤務を継続したとしても、被保険者ではないため、厚生年金保険料を納付する必要はない。ただし、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象となることがある。

原則として、会社で働き続けていても、70歳になると厚生年金保険の被保険者資格を失います。

その後は70歳以上被用者となり、厚生年金保険料は徴収されません。

ただし、給料などの額によっては、老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みにより支給停止となることがあります。

日本年金機構「従業員が70歳になったとき」

なお、老齢年金を受けるために必要な加入期間が足りない人には、70歳以降も任意で加入できる制度があります。

選択肢5. 厚生年金保険法第42条に規定する老齢厚生年金を繰上げ受給している者で65歳に達していない場合は、在職定時改定が適用されない。

在職定時改定は、厚生年金保険に加入しながら働く65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者について、加入期間を毎年の年金額に反映させる制度です。

そのため、老齢厚生年金を繰上げて受けていても、65歳未満の人は対象になりません。

日本年金機構「在職定時改定制度」

まとめ

この問題のポイントは、任意特定適用事業所の申出に必要な労使合意では、70歳以上被用者も同意の対象になることです。

70歳になると厚生年金保険の被保険者資格は原則としてなくなりますが、任意特定適用事業所の労使合意や在職老齢年金など、別の制度では70歳以上の人も対象になる場合があります。

被保険者ではないことと、制度の対象にならないことは同じではありません。

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