社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問59 ((択一式)厚生年金保険法 問9)
問題文
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問59((択一式)厚生年金保険法 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
- 厚生年金保険法第81条の2第1項に規定される育児休業期間中の厚生年金保険料の免除の規定について、育児休業等の期間が1か月以下の場合は、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されるが、その月の標準賞与額に係る保険料についても免除される。
- 厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
- 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。なお、保険料を控除したときは、事業主は、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
- 前月から引き続き厚生年金保険の被保険者の資格を有する65歳以後の老齢厚生年金の受給権者の総報酬月額相当額が改定された場合は、新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該総報酬月額相当額の改定が行われた月の翌月から支給される年金額が改定される。
- 60歳台前半において、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、雇用保険法の規定による基本手当を受けることができるときは、障害厚生年金については、基本手当との間で調整が行われるため、支給停止の対象となる。
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この過去問の解説 (2件)
01
正しいのは、「事業主が賞与を支払うときの保険料の控除と、その通知義務」に関する記述です。
事業主は、被保険者に賞与を支払うとき、本人負担分の厚生年金保険料を賞与から差し引くことができ、そのときには控除の計算書を作成して被保険者に通知する義務があります。
内容:
「育児休業等の期間が1か月以下の場合は、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されるが、その月の標準賞与額に係る保険料についても免除される。」
解説:
ポイントは2つです。
1つ目は、「期間が1か月以下なら、その月の保険料が必ず免除される」と書いている点です。
実際には、育児休業等による保険料免除は、
・休業の開始日・終了日
・月をまたぐかどうか
・その期間に報酬が支払われるかどうか
など、細かい条件に基づいて、政令で対象月が決められます。
たとえば、同じ月の中で少しだけ育児休業を取り、月末には職場に復帰しているような場合には、その月が保険料免除の対象にならないことがあります。
したがって、「期間が1か月以下なら、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除される」と一律に書くのは誤りです。
2つ目の「標準賞与額に係る保険料も免除される」という部分は、現在は育児休業等の期間中に支払われる賞与に係る保険料も免除の対象とされているので、この部分だけ見れば方向性は合っていますが、前半部分の一律な書き方が不正確なので、全体として正しいとはいえません。
内容:
「保険料の納入告知や納付が、実際に納付すべき額を超えていた場合、その超えた部分については、翌日から1年以内に納付されるべき保険料の納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。」
解説:
これは、保険料を払い過ぎたときの扱いについての話です。
厚生年金保険で保険料を多く取り過ぎた場合、原則は「過誤納」として還付(返金)するか、将来の保険料に充当(差し引き)するという考え方になります。
問題文のように、
「納入の告知または納付の日の翌日から1年以内の期日に納付されるべき保険料について」
「納期を繰り上げてしたものとみなす」
という形で規定しているわけではありません。
「1年以内」「繰り上げてしたものとみなす」といった書き方は法のルールとずれているので、この記述は誤りです。
内容:
「事業主は、被保険者に通貨で賞与を支払う場合、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料相当額を、その賞与から控除することができる。保険料を控除したときは、事業主は計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。」
解説:
ここは、賞与からの厚生年金保険料の天引きと、その説明義務についてです。
事業主は、被保険者に賞与を支払うときに、その人が負担すべき厚生年金保険料を賞与から差し引くことができます。
(標準賞与額に基づいて保険料を計算します。)
そして、このように被保険者の賞与から保険料を控除した場合、事業主は控除に関する計算書を作成し、その内容を被保険者に知らせる必要があります。
これは、法律とその施行規則で決められている内容で、
「いくら保険料が差し引かれたのかを、従業員側がきちんと確認できるようにするための仕組み」
です。
この記述は内容が合っています。
内容:
「65歳以後の老齢厚生年金の受給権者で、前月から引き続き被保険者である者の総報酬月額相当額が改定された場合には、翌月から支給停止額が再計算され、翌月の年金額が改定される。」
解説:
ここでは、65歳以上の在職老齢年金の支給停止額がいつ・どう変わるかという話をしています。
総報酬月額相当額(標準報酬月額+標準賞与額の12分の1)は、
・賃金や賞与の変動
・標準報酬月額の改定
などによって変わりますが、実際の支給停止の調整には、「支給停止調整変更月」や各計算のタイミングが関わってきます。
支給停止の変更は、単純に「改定された月の翌月から」という機械的なルールではなく、実際の運用上、決められた月を基準に行われます。
この選択肢のように、「総報酬月額相当額が改定された月の翌月から必ず改定される」と言い切るのは正確ではありません。
そのため、この記述は誤りと考えます。
内容:
「60歳台前半で、障害等級2級の障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、雇用保険の基本手当を受けることができるときは、障害厚生年金は基本手当との調整により支給停止となる。」
解説:
これは、障害年金と雇用保険(失業給付)の関係の話です。
60歳台前半で、特別支給の老齢厚生年金を受けている人が基本手当(失業給付)を受けるときは、老齢厚生年金との調整が入り、支給停止などが生じます。
しかし、障害厚生年金と雇用保険の基本手当の間には、「基本手当を受けると障害厚生年金が支給停止になる」という調整規定は置かれていません。
つまり、基本手当を受けることができるからといって、障害厚生年金が自動的に支給停止になるわけではありません。
「調整が行われるため支給停止の対象となる」としているこの記述は誤りです。
今回の問題で押さえておきたいポイントは次の通りです。
・育児休業等による保険料免除は、期間の長さだけではなく、開始日・終了日・月をまたぐかどうかなど細かい条件で判定され、単に「1か月以下なら必ず免除」というわけではありません。
・保険料の過誤納(払い過ぎ)については、原則は還付または充当であり、問題文のような「1年以内の保険料の納期を繰り上げる」といった整理ではありません。
・賞与からの厚生年金保険料の控除は、事業主が行うことができ、その際は控除の計算書を作って被保険者に通知する義務があるという点が正しい知識です。
・在職老齢年金(65歳以上)の支給停止調整は、総報酬月額相当額が変わったら必ず翌月から改定、という単純な仕組みではありません。
・障害厚生年金と雇用保険の基本手当については、老齢厚生年金と違って、「基本手当を受けると障害厚生年金が支給停止になる」という調整規定はありません。
厚生年金の問題は、「どの給付とどの給付の間に調整があるか」「いつから改定・支給停止がかかるか」「事業主にはどんな通知義務があるか」といった細かい点がよく狙われます。
条文のイメージを持ちながら、「言い切り方」や「期限の数字」に注意して読むと、正誤の判断がしやすくなります。
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02
厚生年金保険法から広範囲に問題が出題されています。
間違い。
育児休業期間中の厚生年金保険の免除の規定について、育児休業等を開始した日の属する月と終了した日の翌日が属する月とが同一である月に育児休業をした日が14日以上の場合は、その月の標準報酬月額に係る保険料は免除されます。
また、標準賞与額については、1か月を超える育児休業等を取得している場合に限り保険料が免除されます。
間違い。
その納入の告知又は納付の翌日から1年以内の期日が間違いです。
正しくは、納入の告知又は納付の日の翌日から6か月以内の期日です。
正しい。
設問の通りです。
間違い。
正しくは、当該総報酬月額相当額の改定が行われたその月から支給される年金額が改定されることになります。
翌月ではありません。
間違い。
障害厚生年金の受給権者が、雇用保険法の規定による基本手当を受けることができるときは、障害厚生年金については、基本手当との間で調整は行われません。
なので、障害厚生年金は支給停止の対象ではありません。
老齢厚生年金と雇用保険法の基本手当は調整の対象となり、基本手当が優先され老齢厚生年金が支給停止の対象となります。
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