社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問63 ((択一式)国民年金法 問3)

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問題

社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問63((択一式)国民年金法 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止される。
  • 「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によると、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるために日常生活への適応にあたって援助が必要である障害の状態のものは、知的障害等の他の障害を併発していなくても、当該発達障害のみで障害基礎年金の認定の対象となる。
  • 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という。)に係る初診日において、被保険者(被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であるものを含む。)であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
  • 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が、恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき又は日本国内に住所を有しないときは、その該当する期間、その支給を停止する。
  • 国民年金法において、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金には失権が規定されているが、付加年金及び寡婦年金には失権が規定されていない。

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この過去問の解説 (2件)

01

間違っているのは、
「国民年金法において、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金には失権が規定されているが、付加年金及び寡婦年金には失権が規定されていない。」
という文章です。

付加年金にも寡婦年金にも、法律上きちんと失権(受給権が消えるルール)が定められているため、この部分が誤りになります。
他の4つの文章は、国民年金法や障害認定基準の内容と合っています。

選択肢1. 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止される。

この文章の内容は正しいです。

・ここでいう障害基礎年金は、20歳前に初診日のある傷病で障害状態になった人に支給される、いわゆる「20歳前傷病による障害基礎年金」のことです(国民年金法第30条の4)。
・この年金には所得制限があり、前年所得が政令で定める額を超えると
 - 一定額を超えた場合:年金の半分が支給停止
 - さらに高い額を超えた場合:年金の全額が支給停止
 となる仕組みです。

文章は「全部又は2分の1が支給停止される」と書いており、この仕組みをそのまま説明しているので妥当です(細かい「何年の何月から」といった期間までは書いていませんが、問題としては許容範囲です)。

選択肢2. 「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によると、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるために日常生活への適応にあたって援助が必要である障害の状態のものは、知的障害等の他の障害を併発していなくても、当該発達障害のみで障害基礎年金の認定の対象となる。

この文章の内容も正しいです。

・障害認定基準では、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など)について、
 - 社会性・コミュニケーション能力が乏しい
 - 不適応な行動があり
 - 日常生活で援助が必要
 といった状態の場合、障害等級に該当する可能性があるとされています。
・そして、知的障害など他の障害を併発していなくても、発達障害のみで障害基礎年金の対象になり得ます。

そのため、文章の説明は実務上の取扱いと合っています。

選択肢3. 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という。)に係る初診日において、被保険者(被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であるものを含む。)であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。

長い文章ですが、内容としては正しいです。

簡潔にまとめると、

・すでに別の傷病で障害状態になっている人が、
・あとから別の病気やけが(基準傷病)になり、
・その二つの障害を併せて(併合して)初めて障害等級に該当した場合、
・一定の条件のもとで、その併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する

というルールです。

 

条件として、

・基準傷病の初診日にはその人が国民年金の被保険者(または60歳以上65歳未満で国内居住の元被保険者)であること

・基準傷病の初診日が、他の傷病の初診日より後であること

・65歳に達する前日までに併合で初めて等級に該当すること

などが求められていますが、文章ではその内容が素直に書かれています。

選択肢4. 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が、恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき又は日本国内に住所を有しないときは、その該当する期間、その支給を停止する。

この文章も正しいです。

・国民年金法第36条の2では、第30条の4の障害基礎年金(20歳前傷病)について、次の場合に支給停止とすることが定められています。
 - 恩給法などに基づく一定の年金、労災保険の年金など、他の年金たる給付を受けることができるとき
 - 刑事施設・労役場などに拘禁されているとき
 - 少年院などに収容されているとき
 - 日本国内に住所を有しないとき

この文章は、この条文の内容をほぼそのまま説明しており、適切です。

選択肢5. 国民年金法において、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金には失権が規定されているが、付加年金及び寡婦年金には失権が規定されていない。

この文章が誤りです。

たしかに、
 - 老齢基礎年金には、受給権が消えるルール(失権)があり、主なものは「受給権者が死亡したとき」です(国民年金法第29条)。
 - 障害基礎年金にも、第35条に失権の規定があります。
 - 遺族基礎年金にも、第40条で失権事由(婚姻したとき、一定の養子になったとき等)が定められています。

 

しかし、ここからがポイントです。

付加年金についても、国民年金法第48条で
 「付加年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。」
 と定められており、これは明らかに失権の規定です。

寡婦年金についても、国民年金法第51条で、
 「寡婦年金の受給権は、妻が65歳に達したとき」「死亡したとき」「婚姻したとき」「特定の養子になったとき」「老齢基礎年金の繰上げ支給を受けたとき」
 などに受給権が消滅することが定められています。

 

つまり、
付加年金にも寡婦年金にも「受給権が消滅する=失権」の規定があるため、
「失権が規定されていない」とするこの文章は誤りになります。

まとめ

・20歳前傷病による障害基礎年金(国民年金法第30条の4)は、所得が一定額を超えると全部または半分が支給停止され、さらに他の年金を受けられる場合や拘禁・国外居住のときも支給停止になる、という特徴的な制限があります。

 

発達障害は、それだけでも日常生活への支障が大きければ、障害基礎年金の対象となり得ることが障害認定基準に明記されています。

 

・複数の障害を併せて(併合して)初めて障害等級に該当する場合の取り扱いも、細かい条件付きで定められています。

 

・そしてこの問題の一番のポイントは、
 「失権があるのは3つの基礎年金だけではなく、付加年金と寡婦年金にも失権規定がある」
という点です。

 

年金の勉強では、「どの給付に、どんな支給停止や失権のルールがあるか」を整理しておくと、今回のような問題に対応しやすくなります。

参考になった数1

02

障害基礎年金についての出題が多いです。

確認として障害基礎年金の支給を受けるためには、

 

①初診日の要件を満たしていること。

・被保険者であること。

・被保険者であった者で、日本国内に住所があり、かつ、60歳以上65歳未満であること。

②障害認定日の要件を満たしていること。

・障害認定日にその傷病により障害等級(1級及び2級)に該当する程度の障害の状態にあること。

・障害認定日とは、初診日から起算して1年6か月を経過した日または1年6カ月以内に傷病が治った場合(症状が固定した場合)はその日のこと。

③保険料納付の要件をみたしていること。

・初診日の前日に、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間があり、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし、初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料納付済期間と保険料免除期間以外の被保険者期間がないこと。

 

の3つを満たしていることが支給を受けるためには必要です。

 

選択肢1. 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、当該障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める額を超えた場合に、その全部又は2分の1に相当する部分が支給停止される。

正しい。
設問の通りです。
国民年金法第30条の4は20歳前傷病による障害基礎年金の規定です。
前年の所得が 479.4 万円を超える場合は全額停止となり、376.1 万円を超える場合は2分の1が支給停止となります。

なお、扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算されます。
 

選択肢2. 「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によると、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるために日常生活への適応にあたって援助が必要である障害の状態のものは、知的障害等の他の障害を併発していなくても、当該発達障害のみで障害基礎年金の認定の対象となる。

正しい。
設問の通りです。
知的障害等の他の障害を併発していなくても、発達障害のみで障害基礎年金の対象となりますが、知的障害とは違い、発達障害には初診日要件と保険料納付済要件を満たしている必要があります。
知的障害に初診日要件と保険料納付済要件を満たす必要がない理由は、知的障害は先天性またはおおむね18歳までの発達期にあらわれる障害だからです。
詳しくは、NPO法人障害年金支援ネットワークのサイトを参照してみてください。
 

選択肢3. 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という。)に係る初診日において、被保険者(被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であるものを含む。)であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。

正しい。
設問の通りです。
国民年金法第30条の3の基準障害による障害基礎年金についての記述です。

選択肢4. 国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金は、受給権者が、恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であって政令で定めるものを受けることができるとき、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき又は日本国内に住所を有しないときは、その該当する期間、その支給を停止する。

正しい。
設問の通りです。
他の設問の解説において20歳前傷病による障害基礎年金について書いてありますが、この設問の場合でも障害基礎年金は支給停止されます。
 

選択肢5. 国民年金法において、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金には失権が規定されているが、付加年金及び寡婦年金には失権が規定されていない。

間違い。
付加年金は、死亡したときに失権します。

老齢基礎年金と同じです。
寡婦年金は、
・65歳に達したとき。
・死亡したとき。
・婚姻したとき。
・直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったとき。
・繰り上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき。
に失権します。
 

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