社会保険労務士(社労士) 過去問
第57回(令和7年度)
問90 ((選択式)労務管理その他の労働に関する一般常識 問5)
問題文
なお、1については、総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックスNo.142)(令和6年9月15日)」が資料として引用する「労働力調査」(基本集計)による用語及び統計等を利用している。
1 総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックスNo.142)(令和6年9月15日)」によれば、65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業、小売業」が132万人と最も多く、次いで「( A )」が107万人で続いている。
産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「( A )」が63万人増加し、10年前の約2.4倍となった。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「( B )」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少している。なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、「( B )」が52.9%と最も高くなっている。
2 労働施策総合推進法第30条の2第1項は、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、( C )によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めている。
3 最高裁判所は、使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「組合結成通知を受けてからX守衛事件まで約9か月にわたり、上告人〔会社〕は、許可願の提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用を許可していたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をしていたものということはできず、その取扱いを変更することが許されなくなるものではない。一方、X守衛事件が起きた直後に上告人から会場使用許可願を却下されて以来、組合は、上告人所定の会場使用許可願用紙を勝手に書き変えた使用届を提出するだけで、上告人の許可なく食堂を使用するようになり、こうした無許可使用を上告人が食堂に施錠するようになるまで5か月近く続けていたのであって、これが上告人の( D )権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないことはいうまでもない。上告人は、組合に対し、所定の会場使用許可願を提出すること、上部団体の役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得ること、排他的使用をしないことを条件に、支障のない限り、組合大会開催のため食堂の使用を許可することを提案しているのであって、このような提案は、( D )者の立場からは合理的理由のあるものであり、許可する集会の範囲が限定的であるとしても、組合の拒否を見越して形式的な提案をしたにすぎないということはできない。また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を使用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合からの提案も、上告人の権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の( D )権を無視した要求であると上告人が受け止めたことは無理からぬところである。そうすると、上告人が、X守衛事件を契機として、従前の取扱いを変更し、その後、食堂使用について( D )権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、上告人の( D )権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いたことも、やむを得ないものというべきである。
以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、( E )であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」
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問題
社会保険労務士(社労士)試験 第57回(令和7年度) 問90((選択式)労務管理その他の労働に関する一般常識 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
なお、1については、総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックスNo.142)(令和6年9月15日)」が資料として引用する「労働力調査」(基本集計)による用語及び統計等を利用している。
1 総務省「統計からみた我が国の高齢者(統計トピックスNo.142)(令和6年9月15日)」によれば、65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業、小売業」が132万人と最も多く、次いで「( A )」が107万人で続いている。
産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「( A )」が63万人増加し、10年前の約2.4倍となった。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加している一方で、「( B )」の65歳以上の就業者は10年前と比較して3万人減少している。なお、各産業の就業者に占める65歳以上の就業者の割合をみると、「( B )」が52.9%と最も高くなっている。
2 労働施策総合推進法第30条の2第1項は、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、( C )によりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定めている。
3 最高裁判所は、使用者が労働組合に対し組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって不当労働行為に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「組合結成通知を受けてからX守衛事件まで約9か月にわたり、上告人〔会社〕は、許可願の提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用を許可していたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をしていたものということはできず、その取扱いを変更することが許されなくなるものではない。一方、X守衛事件が起きた直後に上告人から会場使用許可願を却下されて以来、組合は、上告人所定の会場使用許可願用紙を勝手に書き変えた使用届を提出するだけで、上告人の許可なく食堂を使用するようになり、こうした無許可使用を上告人が食堂に施錠するようになるまで5か月近く続けていたのであって、これが上告人の( D )権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないことはいうまでもない。上告人は、組合に対し、所定の会場使用許可願を提出すること、上部団体の役員以外の外部者の入場は総務部長の許可を得ること、排他的使用をしないことを条件に、支障のない限り、組合大会開催のため食堂の使用を許可することを提案しているのであって、このような提案は、( D )者の立場からは合理的理由のあるものであり、許可する集会の範囲が限定的であるとしても、組合の拒否を見越して形式的な提案をしたにすぎないということはできない。また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を使用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合からの提案も、上告人の権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の( D )権を無視した要求であると上告人が受け止めたことは無理からぬところである。そうすると、上告人が、X守衛事件を契機として、従前の取扱いを変更し、その後、食堂使用について( D )権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、上告人の( D )権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いたことも、やむを得ないものというべきである。
以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、( E )であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」
- いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの
- 医療、福祉
- 運輸業、郵便業
- 管理監督
- 客観的に合理的な理由を欠いたもの
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 組合に対する報復行為を行ったもの
- 組合の施設利用権限を不利益に変更したもの
- 組合の弱体化を図ろうとしたもの
- 建設業
- 指揮命令
- 施設管理
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 製造業
- 通常甘受すべき程度を著しく超えるもの
- 農業、林業
- 不動産業、物品賃貸業
- 利用許諾
- 労働関係の当事者としての権利を濫用するもの
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この過去問の解説 (3件)
01
Eの空欄には、「組合の弱体化を図ろうとしたもの」が当てはまります。
Eの空欄に当てはまりそうなのは、
・いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの
・組合に対する報復行為を行ったもの
・組合の施設利用権限を不利益に変更したもの
・組合の弱体化を図ろうとしたもの
の4つになります。
この文章は、オリエンタルモーターズの最高裁平成3年(行ツ)第34号七・九・八判決の一部です。
Eの空欄の後の文章が適切な選択をすることを難しくしています。
「Eであるとも断じ得ない」という文章です。
少し簡単にすると、会社がEであるとも決定することができない、ないし判断することはできないという意味になります。
空欄に上記4つを当てはめてみると、
・会社がいたずらに組合の秩序を混乱させようとしたとも判断することはできない。
・会社が組合に対し報復行為を行ったものとも判断することはできない。
・会社が組合の施設利用権限を不利益に変更したものとも判断することはできない。
・会社が組合の弱体化を図ろうとしたものとも判断することはできない。
となります。
「判断することはできない」ということは、この文章の中で判断できているものについては、
Eの空欄に当てはまらないということになると思います。
「いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの」について、
会社の施設管理権を無視する組合に対し使用条件について合意が成立しない結果、
自己の見解を維持する組合に対し会社が食堂を使用させないことは、
やむを得ないものというべきとあります。
その結果として食堂の使用許可が下りていないだけなので、
いたずらに組合秩序を混乱させようとしてはいないと判断することができます。
「組合に対する報復行為を行ったもの」について、
会社側というよりも、組合側が5か月間近く無許可使用を行っていたことに対する食堂の施錠は、
企業の施設管理権を無視するものであり、正当な組合活動に当たらないとあるので、
組合に対する報復行為を行ってはいないと判断できます。
「組合の施設利用権限を不利益に変更したもの」について、
会社がX守衛事件を契機として従前の取り扱いを変更したが、
その変更も施設管理者の立場からは合理的なものであり、
その後の食堂使用についても施設管理権を前提とした合理的な準則を定立しようとしているのであって、
組合の施設利用権限を不利益に変更したものとは言えないと判断することができます。
「組合の弱体化を図ろうとしたものは」については、
この問題の文章からは組合の弱体化を図ろうとしたものとも図ろうとはしていないとも、
読み取ることはできません。
そのため、組合の弱体化を図ろうとしたものとは判断することはできないので、
Eに当てはまる語句は、「組合の弱体化をはかろうとしたもの」が適切ということになります。
この問題は、正解を知っていないとほぼ解ける問題ではないと思います。
そして、このような問題の解き方では時間がかかりすぎてしまいます。
ですので、有名な判例などは試験の前にいくつか読んでおくことが大切です。
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02
正解は「組合の弱体化を図ろうとしたもの」となります。
設問において、
「( E )であるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない」
とあり、Eに入る候補は以下の4つに絞られます。
・いたずらに組合秩序を混乱させようとしたもの
・組合に対する報復行為を行ったもの
・組合の施設利用権限を不利益に変更したもの
・組合の弱体化を図ろうとしたもの
上告人は、食堂を利用の可否について、組合の要望を受け入れるかどうかという点や利用において一定の条件を提示している点から、設問の「混乱させる」や「報復行為」は組合を攻撃するような行為となるので適当ではありません。
「施設利用権限を不利益に変更」については、もともと施設利用権限があったかどうかについて疑問が残ります。
結果、消去法により「組合の弱体化を図ろうとしたもの」が、この中で一番適当であると考えられます。
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03
(E)に入る語句は、組合の弱体化を図ろうとしたものです。
最高裁判所は、会社が食堂を使用させなかったことについて、会社の施設管理権を濫用したといえる特別な事情はなく、労働組合の活動や力を弱める目的があったとも断定できないと判断しました。
そのため、会社による食堂の使用拒否は、不当労働行為には当たらないとされています。
完全な文章は、次のようになります。
「以上によれば、本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的に大きいとはいえないこと、組合事務所の貸与を受けていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること、上告人が労働委員会の勧告を拒否したことなどの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に対し食堂の使用を許諾しない状態が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず、組合の弱体化を図ろうとしたものであるとも断じ得ないから、上告人の食堂使用の拒否が不当労働行為に当たるということはできない。」
ここでいう「断じ得ない」とは、そのような目的があったとは断定できないという意味です。
裁判所の判決文
組合内部の秩序をわざと乱そうとする行為を表します。
この事件で問題となったのは、会社が組合内部の秩序を混乱させたかではなく、食堂の使用を拒否することで組合を弱体化させようとしたかです。
(A)に入る語句です。
65歳以上の就業者が107万人となっている産業を表します。
会社による食堂の使用拒否の目的を示すものではありません。
運送、鉄道、バス、郵便などを含む産業です。
「運輸業、郵便業であるとも断じ得ない」という内容にはならないため、(E)には入りません。
人や仕事を管理し、監督することです。
この事件で会社が組合の管理監督を行ったかどうかは問題となっていません。
一般的に見て、納得できる理由がないことを表します。
しかし、会社は、許可願の提出、外部者の入場許可、排他的に使用しないことなどを条件として食堂の使用を認める提案をしていました。
最高裁判所は、この提案には施設管理者として合理的な理由があると判断しています。
(C)に入る語句です。
職場のパワーハラスメントの要件に関する表現であり、会社による食堂の使用拒否の目的を示すものではありません。
組合に対する仕返しを表す言葉です。
守衛事件がきっかけとなって食堂の取扱いは変更されましたが、判決は、この使用拒否を報復行為と表現していません。
会社は合理的な利用条件を示しており、その条件について合意できなかったため、食堂を使用させない状態が続いていました。
最高裁判所は、組合が以前から食堂を使用していたとしても、会社が食堂の使用を包括的に許可していたとはいえないと判断しました。
組合に食堂を当然に利用できる権限があったわけではないため、「施設利用権限を不利益に変更したもの」とは評価されていません。
(E)に入る語句です。
「組合の弱体化」とは、組合の活動を困難にしたり、組合員のまとまりや交渉する力を弱めたりすることです。
この事件では、組合には組合事務所がなく、食堂を使えないと組合活動が難しくなる事情もありました。
しかし、会社は施設管理権を前提とした合理的な利用条件を提案していました。
そのため、食堂の使用拒否が組合を弱めるための行為だったとは断定できないと判断されました。
建物、道路、橋などを造る産業です。
会社の食堂使用拒否についての評価を表す語句ではありません。
仕事の内容や進め方を労働者に指示することです。
この事件で問題となった食堂の管理や組合弱体化の目的を表すものではありません。
(D)に入る語句です。
会社は、食堂の利用方法や利用条件を決める施設管理権を持っています。
(E)には、この権利を行使した会社の目的についての評価が入ります。
ホテル、旅館、飲食店などを含む産業です。
問題となった施設は食堂ですが、会社の業種を問う問題ではありません。
理容、美容、洗濯、旅行、娯楽などを含む産業です。
食堂使用拒否が不当労働行為に当たるかどうかを判断する語句ではありません。
工場などで製品を作る産業です。
会社の行為の目的を表す語句ではないため、(E)には入りません。
一般的に我慢すべき程度を大きく超えていることを表します。
この事件では、食堂を使用させないことによる組合活動への影響も考えられましたが、この表現は判決で使われていません。
(B)に入る語句です。
65歳以上の就業者が10年前より3万人減り、就業者全体に占める65歳以上の割合が52.9%となっている産業です。
(E)には入りません。
土地や建物の売買・賃貸、物品の貸出しなどを行う産業です。
会社が食堂の使用を拒否した目的を表す語句ではありません。
施設などの利用を認めることです。
この判例では、会社が食堂の使用を許諾しなかったことが問題となっていますが、(E)にはその行為の名称ではなく、会社が組合を弱める目的で行動したかを示す語句が入ります。
判決は、食堂を使用させないことが会社の権利の濫用に当たるかについても判断しています。
しかし、空欄の直前ですでに「上告人の権利の濫用であると認めるべき特段の事情があるとはいえず」と述べられています。
その後の(E)には、これと別の観点である組合の弱体化を図ろうとしたものが入ります。
(E)に入る語句は、組合の弱体化を図ろうとしたものです。
最高裁判所は、次の事情を踏まえて判断しました。
・組合は、会社の許可を受けずに食堂を使い続けていました。
・会社は、食堂の利用を全面的に認めなかったわけではなく、合理的な利用条件を提案していました。
・会社と組合の間で利用条件について合意できませんでした。
そのため、会社の対応は施設管理権の濫用とはいえず、組合を弱体化させる目的があったとも断定できないとされました。
したがって、食堂の使用拒否は不当労働行為には当たらないと判断されています。
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